第15話 弱肉強食

「早速いたな、あいつは……ゴブリンか?」


 俺たちは今手頃な岩に身を潜めて観測していた

 俺たちは、物陰に潜み、情報を聞いて観察した後で戦うことにした


「ああ、こいつはゴブリン、妖精の一種で人に対してイタズラをするモンスターとして有名だな」


 見ると、焚き火のそばに居る緑色の何かがいた、それは身長130cmくらい、ざっと小学三年生くらいの身長、緑色の肌に鋭く黄色い目をもつメジャーモンスターが5体くらい群がっている


「こいつは特に何も無いんだよな?でかくなったりしないよな?」


「大丈夫だ、ゴブリンがでかくなるわけないだろ」


 スライムの件で未だトラウマな俺は慎重に行くことにする


「まずそうだなそこに2人話し合っている2匹のゴブリンがいるだろ、そこに毒を投げつけて観察してみよう」


「どうしたのよ、冒険者ならもっと大胆に行くべきじゃない?」


 何かあったら怖いから慎重なんだ、慎重を怠って死ぬ奴はダサい、俺はそんなヤツらと同じ轍を踏まないと昨日心に決めたんだ

 俺はとりあえず『ファイヤー』で短剣を熱して攻撃力を上げておく


「み、見えないところから一方的に毒を投げるのですか!?それはちょっと……可哀想と言いますか」


「もしかしたら命に関わるかもしれないんだぞ、こういうのはな、慢心したやつから死んでいくんだよ」


 スライムの時だってルナがいなければ死んでいただろう、そのことを踏まえて俺は慎重なんだ、そうこれは決して卑怯では無い


「な、投げますよ」


 そういうとクレアが茂みからポーションをゴブリンに投げつける


「ギッ!ギギャアアアアアアア!!」


「ギャ!?」


 おお、効果テキメンだ、テキメンすぎてとてもじゃないが描写出来ない、とりあえず顔にクリーンヒットしたとでも言っておこう

 そいつは地面に転がり込んで手足をジタバタさせている煙を上げ叫ぶ

 それを見た仲間は何が起こっているのか分からず、後ずさりしていく

 一匹は逃してしまったが、直撃した方は地面に伏せた

 そして俺がこの混乱に乗じて木の上に登る

 それから俺は予めアツアツに熱しておいた短剣を、先程逃した真下のゴブリンに向かって


「オラァ!」


「ギャギ!!」


 飛び降りてゴブリンの頭頂部に短剣を思いっきり突き刺す、そこはジュウジュウと焦げて一瞬で動かなくなった


「ギギギ……」


 目の前にいる2匹のゴブリンが警戒してこちらを見てくるが、見てくるだけで何もする様子がない

 ……いや待て、2匹?


「おい!後ろ!!」


「ぬぉおおおお!」


 俺はかろうじて後ろからダガーを持って突撃してきたゴブリンを、横に飛び込んで回避した

 クッソ、マジでいくら命があってもなりねぇ!!

 するとリリスが前に出てきた

 ゴブリンがそんなリリスを見て固まり、そして動かなくなった


「えっ?なんだ?なんでこいつら動かないんだ?」


「驚いたでしょ、これが『魅了魅了チャーム』よ」


 それあるなら最初っから使っとけよ

 確かに目の色が妖しく輝いて……顔も整っていて美しいボディラインが輝いている


「おい、お前まで魅了されてどうするしっかりしろ」


「ッハア!?俺は今まで何を」


「別に覚えてるだろ」


 ルナにしばかれて正気を取り戻した、これが魅了……確かに強力だな、これ使えば一方的に攻撃出来るくね!?


 そう思った俺はゴブリンに近づき


「ちょ!ちょっと待って、もう効果が!」


 俺の目の前には既に正気を取り戻したゴブリンが、ダガーを握りながら、俺の方をしっかり見ていた

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