第12話 パン屋さん?が仲間になりました③

「えっ?サキュバスって...あの悪魔のことだよな?」


 俺はルナの言ってることにビックリしていた

 リリスが魅了スキルの事を持っていることをいきなり言い出したからだ


「なな、なんの事かしら?別に私は怪しくないわよ!」


 リリスは気が動転しているのか、焦りながら怪しさ満点の上擦った声でそんなことを言ってくる


「なぁ、サキュバスってどんな奴なんだ?」

「サキュバスは魔法やスキルが簡単なのしか習得使えない代わりにチャーム等の魔法を使って、男性の精気を吸って生きる悪魔だ、そしてチャームは魔族界の魔導書限定の魔法だ」


 魔族界の魔導書?魔族界なんてあるんだな、しかし

 これでもう確定じゃねぇか


「確かにそうだよな、だってどう見てもデカすぎると思ったもん」


「な!何言ってるの!」


 俺は明らかにデカすぎるそれを見ながら言うと、リリスが涙目になりながらもツッコむ


「なるほどな、ということはこいつは魔王軍のスパイか?」


「サキュバスみたいな下っ端悪魔は、魔王軍なんか入れん、こいつはお前の精気目的で来たんだろう、おいクレア、いい実験台が見つかったぞ」


「ほほうサキュバスですか!いいですねいいですね!ちょうどスライム見たいな人外に対して実験したかったんですよ!」


「まって!ねぇやめて!謝るからどうか実験台はやめてください!」


 そう言うとリリスは綺麗な土下座をして見せた


「なるほどな、それにしたってドジが過ぎるだろ」


 あの後、会計を済ましてから魔道具店を出て、ギルドに来て色々事情聴取に来ていた

 するとリリスは元々、昼間は冒険者のフリをして夜は宿に泊まる男たちを窓から気づかれない程度に吸って生活していたそうだ

 しかし最近冒険者が減ってきて、宿に泊まる男が少なくなって困っていたから、男のいるパーティーに参加して毎日ちびちび吸おうと考えていたらしい

 この国、普通にサキュバスが侵入しているんだが本当に大丈夫なのか?


「別に私、あなたが死ぬまで吸うとか、そんなこと考えてなかったのよ、ただほら、このままだと安定してご飯食べれないから仕方なく、しかーたなくこのような行為をすることに至ったわけでして...」


 なるほどな、だからそんなに俺のパーティーに入りたかったのか

 ヤバすぎるだろ俺こいつのドジがなかったらもしかしたら死んでる可能性もあったのか


「頼みますよ和也さん!私このままじゃご飯食べれなくて死んじゃいます!チャームや幻想魔法、ついでにパンも着いてきてお値段たったの少しの精気と最底辺のお金のみ!ここまでお得なオファーは無いですよ!!」


 そう言うと紙袋からうねうね動くフランスパンを見せ付けてくる

 そのフランスパンは普通にキモいし、悪魔と暮らす時点で怖すぎるだろ、何言ってんだこいつ


「幻想魔法を使えば寝ている間、なんでも見れますよ!あなたはもう年頃でしょう?日々悶々とした生活を送ってるんじゃないかしら?私なら見せることが出来ますよ!」


 えっマジ?

 いや騙されるな、危うく危ない道に連れてかれることに


「そして今宵は満月!気合いはバッチリなので、もうそれは凄いのを...!」


 ……


「まぁ困ってる人がいるなら助けてやるのは当たり前だよな!これからもよろしくな!」


「あとそうですね!私が直々に料理も作ってあげ...えっ!いいんですか!ありがとうございます!」


「おい」


 何やら後ろから勘違いしているらしいルナが冷ややかな目を向けてツッコミを入れてくる


「勘違いしているようだが人を助けるなんて冒険者として当たり前だ、だから俺は助けることにしただけだぞ」


 俺は1番気になることをリリスに聞いた


「ちなみに今日の夜早速お願いしてもいいですか?」


「もちろんいいですよ」


「お前自分で今何したか分かってんのか?」


 何故だか分からないがルナが怒っている


「おいおい、何怒ってんだよこりゃただの人助けじゃないか」


「こいつは人じゃねぇ」


 いちいちルナが揚げ足を取ってきやがる


「まぁ大丈夫だろ、死なない程度にちびちび吸うくらいならきっと大丈夫なはずだ、それに今までそれがバレたことないってことはきっと本当なんだろう」


「...はぁ、まぁお前がいいならいいが、どうなっても知らないからな、自分は忠告したぞ」


 人間臭く、ルナがため息混じりにそんな事を言うが、警戒しすぎじゃねぇか?

 にしてもやばいな、悪魔って人間に対して憎悪なイメージがあったが意外とそんなことないのか、今夜が楽しみすぎる!一体どんなものを見せてくれると言うんだろう

 俺は興奮しつつも、とりあえずそこら辺の店で飯を済まして、とっとと寝ることにした


「4人でお願いします」


 俺達は飯を済ますと、いつもの宿で泊まることにした


「ラボ以外で寝るのは久しぶりですね、緊張します」


 クレアはそう言いながら、おやすみなさいと言って部屋に入っていった


「今日はお楽しみの時間だもんな、楽しめよ」


 昨日俺と一緒に寝ていたルナが何故か不機嫌そうにそんな事を言って部屋に入っていく

 どうしたんだろう

 するとリリスもドアノブを持ちながら


「おやすみなさい、今日はありがとうね、お礼にとびきりのを見せてあげるわ」


 そう言って部屋に入っていった

 ...おいおいマジかよ!テンションめっちゃ上がるんだが!!

 俺はソワソワしながらも扉から自分の部屋に入っていく

 早速寝よう、そうしよう

 俺は部屋鍵を閉めずに、ランプを消して布団に潜り込んだ

 ……

 やべぇ楽しみすぎて寝れねぇ

 めっちゃ目ぇ覚めてんだが

 あれだな、こういう時にこそ羊を数えるんだ

 羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹...

 寝れねぇ

 まぁこんなんで寝れたら睡眠薬とかいらんわな

 だけどどうしよう、このまま寝れずに朝を過ごすなんて嫌なんだが

 そうだ、何も考えるな、何も考えずに呼吸を意識するんだ

 確か四・七・八呼吸法なるものがあったはずだ、それを試してみよう

 4秒吸って、7秒止めて、8秒かけて息を吐く

 これを繰り返せば自ずと……

 すぅーーーー…………はぁーーーーーーーー

 効果があったのか、俺は次第に眠くなっていき……

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