第11話 町へ

 家から歩くこと十五分ほど。

 私とわたあめは、「ライミルイア」という町に到着した。住宅や商店が多く存在する、比較的大きな町だ。


「確か商店街に、野菜や花の種を取り扱っているお店があるはず……わたあめ、楽しみですね!」

「ふるっふふる!」


 私たちはそんな会話を交わしながら、商店街の方へと歩いていく。

 五分ほどで、商店街の南側入り口に到着した。平日の割には人で賑わっている印象を受けた。


「えーと確か、目的のお店はここからすぐだったはずですが……」

「ふふるる〜……」


 視線を彷徨わせる私に合わせるかのように、わたあめもきょろきょろしている。相変わらず可愛すぎる。

 少しして、私は一つの小ぢんまりとしたお店を指差した。


「あっ、ありました! あれです、あのお店!」

「ふるふ!」


 私たちは、目的のお店へと駆け寄る。

 店頭に並んでいるのは、様々な野菜や花の種が入った袋だ。

 私は鮮やかな赤色の花が描かれているデザインの袋を手に取り、値札をチェックする。


「さ、300エンエン……!?」

「ふるふっ!?」

「あのモモミーピッグ貯金箱が20体集まらないと買えませんよ〜!?」

「ふるる…………」

「ま、まあこれだけ超高級かもしれませんし、別のも見てみましょうか……600エンエン!? モモミーピッグ貯金箱40体!?」

「ふるるるる…………」


 私は早業で全ての袋をチェックしてみたが、一番安いもので150エンエン(モモミーピッグ貯金箱10体)だった。

 私とわたあめは、がっくしと肩を落とす。


「デフレ、起きてねえ…………」

「ふるっふる〜…………」


 私たちはとぼとぼ、お店の前から退散するのであった。


 *・*・


「――――まあ、あの程度で私が家庭菜園とガーデニングを諦めると思ったら、大間違いですが?」

「ふっふっふ」


 私とわたあめは、不敵な笑みを浮かべる。


 私たちの目の前にあるのは――冒険者ギルド。


 魔物討伐、素材採集、その他様々な悩み事などの依頼が集まる場所だ。

 依頼を達成すれば、それに応じた報酬を得ることができる。


 私は腕のストレッチをしながら、口角を上げた。


「さあ、ここでちょっくらお小遣い稼ぎといきますか!」

「るっるっる」


 私とわたあめは頷き合ってから、冒険者ギルドの扉を開けた。

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