第 肆拾伍 話:鬼神の覚悟
真斗の呼び出しで源三郎達の家臣一同と乙姫達の側女一同、そして竹取の
そして真斗は上座に胡座をし、目の前で正座をする
「それじゃ
少し悲しい表情で俯く
「分かった真斗。改めて言うわね。私はここの世界、地上の人ではないの」
だが、すぐに真斗は手振りで皆の動揺を静める。そして
「私は月の民、正確には月の都である
そして
月では地上の人間は欲深く醜く、そしてすぐに争いを起こす存在と伝えられており、その教えで育った当時の
しかし、赤ん坊の姿で光る竹に入り地上に降り立った際に竹林で竹と
そして真斗と出会いが
「真斗、お爺様、お婆様、そして皆様、今まで隠していてごめんなさい。私は明後日の十五日に
嘆き悲しむ
「なっ⁉ふざけるな!今までわしと婆様で大切に育てた
「真斗様‼一刻も早く兵を集め!城の守りを固めましょう‼例え誰が
怒りと決意に満ちた表情と眼差しでそう言う
「しかし・・・相手は月の民だ。どんな力を持っているのか分からない以上、真っ向から戦っても勝てるかどうか」
悩む真斗、だが
「分かった!
彼から見て右側に正座をする源三郎に命を出し、命を受けた源三郎は深々と一礼をする。
「ははぁーーーっ‼」
こうして真斗の命で急遽、鬼龍軍の兵士達が城の守りの為に集まる。一方、
■
そんな中で真斗達は
そして迎えた十五日の夜、会津城は松明の光で明るく灯されていた。そして
「大丈夫ですよ
正座をする
「ありがとう愛菜。でも無駄よ。月の民は皆、強力な神通力を使う事が出来るのよ。特に王族は下手をすれば一つの世界を滅ぼす程の力を持つのよ。私を迎えに来る使者も王族までとはいかないけど強力よ」
「それでも・・・・戦わないよりはましですよ!」
そう言って愛菜は立ち上がり壁に立てかけてあった薙刀を手に持つ。
一方、兜と甲冑を着こなした真斗達は大広間まで胡坐をして月からの使者を待ち構えていた。
「しかし、驚きましたよ。
関心しながら上座で胡坐をする真斗は左側で胡坐をし、
すると胡坐をし、太刀と和弓を右に置く
「わしも
そして
「最初、
そう言うと
「大切な家族を逃がすだけでなく郎党として主を守る武士としてではなく大切な人を守る武士として生きろと。それからわしは同じ想いで生き残った武士を集めて
「真斗様!来ました‼月からの使者が現れましたぁーーーっ!」
足軽隊長からの知らせに真斗達はキリッとした表情となり、武器を持ち立ち上がる。そして勇ましく堂々とした姿で真斗を先頭に皆は廊下を歩き
■
一方、外では満月が天高く昇った時に外で待ち構えていた鬼龍軍の足軽達と
幻想を超えた美しさと堂々な姿に鬼龍軍は言葉を失い呆然とする。また、その光景は城外の百姓達も目撃しており鬼龍軍と同じ様に呆然としていた。
すると見ていた
「皆ぁーーーーーっ!こおしちゃいけねぞぉ‼おら達も武器持って城に行くぞ!どんな人だろうが!
それを聞いた百姓達は覚悟を決めた様な勇ましい表情で一斉に拳を高々に上げる。
「「「「「「「「「「おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」」」」」」」」」」
塗籠に着き、外で月からの使者達が到着した光景に真斗達も言葉を失い啞然としていた。だが、すぐに
「真斗様!早く!早く‼奴らを!月の使者を射抜き堕とさないと‼」
「弓矢隊!鉄砲隊!
真斗からの号令に鬼龍軍の足軽達と
「お!おい!矢と弾が弾き飛んだぞ‼」
「くそ!とりあえず撃て!城に絶対に近づけるなぁ‼」
「ダメだ‼撃っても!撃っても!届かんぞぉ‼」
「撃て!矢と弾が尽きるまで撃ち続けるんだ‼」
鬼龍軍の足軽達と
そしてリーダーと思われる茶髪の美女が落ち着いた表情で塗籠の出入りに立ち塞がる真斗達に話し掛ける。
「竹取の
「ふざけるな!
「まったく業の深い人間め。さぁ妹よ、私の元に来なさい」
そう言うと
吹っ飛ばされて来た真斗達に
「姫!
「ごめんなさい、お婆様。でもこれは私の運命なのです」
そう言って
「皆さん!どうして、ここに⁉」
驚く
「おら達にとっても大切な
「どう抗おうとも無駄です。さぁ退きなさい地上の人達よ」
すると
「皆さん!もういいんです‼ありがと、私をここまで愛してくれて。でも私は皆さんの血を見たくはありません。道を開けて下さい。そして、どうか私を見送って下さい」
そして
「それでよいのです
そう言って
「これを。不老不死の薬を飲み
「待ってくれぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」
するとそこに百姓達が
「
必死に懇願する真斗。すると
「鬼龍 真斗と言いましたね。分かりました。貴方様の熱意に免じて
それを聞いた真斗は頭を上げ、喜びに満ちた笑顔をする。
「本当ですか⁉」
「ただし、条件があります。貴方様がもっと大切な物を
それを聞いた真斗は啞然とし、
「お姉様!それはあまりにも‼」
「貴女は黙っていなさい‼」
一方の真斗は困った表情で深く俯く。その姿に
(やはり。どんなに勇ましく純粋な心も持とうとも所詮、地上の人間の根元は醜く
そう心の内で嘲笑う様に語る
そして抜き捨てた小太刀を鞘から脱ぎ柄を両手で持ち、刃先を自身の腹に向ける。
「
真斗は右を振る向き、一緒に着いて来た源三郎にそう言うと源三郎は軽く一礼をする。
「はい!
そして源三郎は真斗の覚悟を受け止め、腰に提げている愛刀を抜き両手で柄を持ちながら真斗の右隣に立つ。
「愛菜!後は
真斗は左を向き、彼の後に付いて来た愛菜にそう言うと彼女は真斗に近づき両膝を着き、覚悟を決めた表情で頷く。
「はい!兄上‼」
「皆の者よ!この俺の‼鬼龍 真斗の勇ましい最後をしかと目に焼き付けよ‼」
真斗が力強く命じると皆は両膝を着き、深々と頭を下げる。
「「「「「「「「「「「「「「「はっはぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」」」」」」」」」」」」」」」
そして真斗は
「
そして真斗は小太刀の刃先を勢いよく自身の腹部に突き刺し、俯きながら激しい痛みに耐えながら左から右へと動かす。
「
真斗は痛みに耐えながら源三郎の方を向くと彼は愛刀を高々に掲げて構えながら覚悟を決めた表情で頷く。そして。
「チェストォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ‼」
掛け声を叫びながら源三郎は勢いよく愛刀を振り下ろし、真斗の首を斬り落とす。
そして源三郎は愛刀に付いた血を左の腕の関節に挟み拭き取ると真斗の死体に向かって深々と一礼をし、地面に転がった真斗の首を拾い上げると持っていた手拭いで汚れた真斗の顔を綺麗にし、片膝を着いて両手で真斗の首を持ち
「
あまりにも予想外の事に
一方、首を斬られた真斗は黒く暗い何も感じない世界を漂っていた。
(これでいい。これで。
などと心の内で語る真斗。すると誰かの声が響き渡ると同時に真斗の体を眩い光が包み込む。そして次の瞬間、真斗は目を覚まし勢いよく上半身を起こす。
息を切らせ驚きがら自身の腹と首を触り、自ら小太刀で斬った傷口はなく源三郎の介錯で斬られた首と胴体がしっかりと繋がっていた。
「あれ?確かに俺は自分で腹を切って
「真斗‼」
するとそこに雲に乗っていた
「
「ええ!そうよ‼でも、お姉様の力で蘇ったのよ」
涙を流し喜びながら言う
「真斗
真斗と
「はい。愛する
「お姉様!私からもお願いします‼どうか!夫の!真斗の側にずっと居させて下さい‼」
真剣で固い決意に満ちた表情をする真斗と
その光景に
「分かりました。あなた達の意思を尊重し我が妹、
頭を上げた
「はい!悔いはありません‼それでも愛する真斗と引き離すのであれば!私はこの場で舌を噛んで自害します‼」
「分かりました
笑顔でそう言う
「ははぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」
「では、さらばです」
頭を上げ安心した笑顔となった真斗は
「
すると
「今日は色々、あったからゆっくり休みましょう」
その囁きで真斗は不思議と心と体を包み込む様に癒されながら頷く。
「ああ、そうしよう」
こうして武士としてではなく、一人の愛する人を命に変えても守る男としての覚悟を示した真斗によって
あとがき
これにて第一章、天下統一編は終了です。長くなりましたが、無事に第一章を終える事が出来ました。色々あったりアイデアに行き詰まり上手く執筆が出来なかった時やPVが0であった時もありましたが、諦めずに執筆を続けたのも本作を読んで下さった読者の皆々様のお蔭でです。改めまして読者の皆様に深い感謝しかありません。本当にありがとうございました。
次回から第二章、
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