第 拾陸 話:傷を癒す者
真斗が
「おのれぇーーっ!鬼龍 真斗ぉーーーっ‼」
そして
「鬼龍 真斗ぉーーーっ‼覚悟ぉーーーーーーーーーーーっ!」
上段の構えで襲い掛かって来る
声を上げながら真斗に目前に迫った瞬間、
「
そう言うと源三郎は
そして血を流し倒れた
「私を・・・倒した・・・お主の・・・名は・・・?」
口から大量に血を流し、息を荒々しく弱々しく問う
「源三郎。鬼龍家家老、河上 源三郎と申す。そなたの名は?」
「私の・・・名は・・・
そして源三郎は憐みの表情で差し出された彼の右手を優しく右手で掴む。
「分かった。申してみよ」
「どうか・・・私の・・・・妻と・・・娘を・・・守って・・・下さい・・・・二人は・・・
必死の訴えの表情で涙を流す
「分かった。そなたの願い、この河上 源三郎が確かに受けっとった。だから安心せよ」
勇ましい表情から笑顔に変えた源三郎の姿に
そして源三郎の側にゆっくりと来た真斗は
「
真斗からの問いに源三郎は死んだ
「もちろんですとも
源三郎の固い決意を聞いた真斗はニッコリと明るく笑う。
「そっか。
「ありがとうございます。それより
「ああ!」
真斗は転がっていた
「
会津全土に響き渡る真斗の
「「「「「「「「「「えい!えい!おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼えい!えい!おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼えい!えい!おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼えい!えい!おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」」」」」」」」」」
一方の生き残った
■
その後、
三日間、続いた
その結果、
残った
快晴のお昼時、復興した田畑を百姓達が喜び合いながら農作業を行う傍らで会津城と城下町の復旧作業が行われていた。
復旧作業が行われている会津城の茶室では真斗と
「真斗、長い
正座する
「ああ、ありがとう
「それで真斗、その
少し不安な笑顔で問う
「大丈夫だ。
真斗の口から出た源三郎の意外な一面に
「へぇーーーーっあの源三郎様にそんな一面が。以外ね」
「ああ、
「あらぁーーーっふふふっ!源三郎様って昔は遊び人だったのね」
「そうなんだよ。でも
「あらあら、でも人に歴史ありね」
「そうだなぁ」
すると真斗と
一方、会津城内にある家臣屋敷の一つである河上屋敷では和服を着た源三郎が広間で正座をし、向かいには着物を着た美しい出で立ちと黒髪の女性と娘が不安そうな表情で正座をしていた。
そして源三郎は一本の打刀と兜を女性と娘の前にそっと出し、深々と頭を下げる。
「これは貴女様達のご主人であります
謝罪とも感じ取れる源三郎からの言葉をしみじみと聞いていた女性と娘こそ
「あの人は、夫は貴方様が殺したのですか?」
源三郎は頭を上げ、真っ直ぐした表情と眼差しで答える。
「はい、この私が
それを聞いた
「ありがとう・・・ございます!源三郎様‼心より!感謝いたします‼」
「懺悔のつもりですか⁉父上を殺し!私と母上を託されたと言っても‼所詮は貴方も私達を手に入れたかっただけでしょ!貴方を含めて父上以外の男は皆!
源三郎に向かって強く批判し
「ちょっと
「申し訳ありません!源三郎様‼
今まで味わった恐怖からか
そんな彼女に源三郎はゆっくりと近付き、笑顔で彼女の頭を上げさせる。
「わしは大丈夫だ、
源三郎からの励ましに
「ありがとうございます‼ありがとうございます‼」
それから源三郎は二人が今まで
■
それから三日後の昼、城の道場で真斗は源三郎と
汗を流し、手拭いで汗を拭きながら竹水筒に入った水を飲んで休憩していると源三郎は開けた竹水筒を持ちながら溜息を吐くので真斗は笑顔で問う。
「どうした
源三郎はハッとなり、少し苦笑いをしながら答える。
「あ!ああ、いえ
源三郎は真斗に対して今の悩みを包み隠さず話し、それを聞いた真斗はクスクスと笑う。
「なるほど、それは家老である
「笑い事ではありませんぞ、
「そんな思い詰めるな
真斗との口から出た自分の教えを聞いた源三郎は心のつかえが取れ、気持ちが楽になる。
「ありがとうございます
明るい笑顔で言う源三郎の姿に真斗はニッコリとなる。
「やっと、いつもの
「ええ、次は手加減しませんぞ!」
休憩を終えた真斗と源三郎は稽古を再開するのであった。
その日の夜、
「一体何だ?」
起き上がった源三郎はゆっくりと左の襖に近づき、片膝を着くと襖を覗く位に開ける。
そこでは布団に向かい合って寝転がり、寝間着を着た
「母上!もう我慢ができません‼」
「
「二人共!大丈夫か?」
突然、現れた源三郎に
「あ!げ!源三郎様‼いえ!これは!その‼」
「お!お願いします‼源三郎様!母上も!私も!初めからこの様では!」
すると源三郎はまるで仏の様な笑顔で二人に近づき、優しく抱き寄せる。
「いいんだ、何も言わなくてよい。それより二人共、苦しそうだね。ちょっと待っていなさい」
源三郎はそう言うと和室を出て一人、台所へと向かう。そして南部鉄器の手持ち型の鉄燭台に立たせてある和蝋燭に灯る明かりの中で十個の木製の茶筒を食器棚から取り出す。
そして源三郎は茶筒から山で取れた薬草を取り出し、それを
お茶の葉程度に潰した薬草を源三郎は
そして約一分後、源三郎は薬草をお湯で蒸らし用意した二つの湯飲み茶わんへ均等に注ぐ。そしてお盆に入れた二つの湯飲み茶わんと手持ち型の鉄燭台を置く。
「これでよしと!」
そう笑顔で言う源三郎はお盆を両手に持ち
お盆を持って火屋付型の燭台に置かれた和蝋燭が灯る二人の和室へ戻った源三郎は
「わしが入れた、その薬草茶を飲めば体の疼きは収まりますよ」
笑顔で言う源三郎であったが、正座をする
すると体全体を蝕んでいた疼きが一瞬で消え去った事に
「え⁉どういう事!疼きが一瞬で消えた!ねぇ
「私も同じです母上!私と母上を苦しめていた疼きがまるでそよ風の様に消えるなんて‼」
「源三郎様!この薬草茶はなんですか?」
「その薬草茶は我が河上家に代々伝わる妙薬で元々は酔い止め薬だったんだが、仕えていた主人が酷く心を病んでいたので何とかしようと、このお茶を出したら不思議と病んだ心が落ち着いたんだ」
薬草茶の説明を聞いた
「なるほどね。でも何故なの?何故、そこまで貴方は私と母上を気遣うですか?」
真剣な眼差しで問う
「普通の事をわしはやっているだけですよ。ここへ来てさぞ、お二人は不安だったでしょう?わしの出来る事は少しでもお二人の不安を取り除き、この会津の地で安心して幸せに暮らせる様にする。それだけです」
偽りのない明るい満面の笑みをする源三郎の姿に
「ごめん・・・なさい」
すると
「ごめんなさい!ごめんなさい‼源三郎様!
抱き付き泣き叫びながら許しを懇願する
翌日の朝、義務用の和室で和服姿の真斗と源三郎は向かい合って胡坐し、前にある
「なるほど、流石は
笑顔の真斗からの素朴な問いに源三郎は明るく笑い出し、答える。
「今は色々と忙しいですからね。こちらが落ち着いてから式を挙げる予定です。その時は
「ああ、任せとけ
真斗は笑顔で源三郎の頼みを引き受けた後は今まで以上に力を入れて書類の処理を行うのであった。
あとがき
今回の話は源三郎を中心とした物となっています。攻めた描写もありますが、源三郎の意外な一面を表現する事が出来ました。
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