第 弐拾漆 話:紀伊水道合戦
真斗は自身の
「なるほどなぁ。俺を殺したくないから今すぐ毛利側に下れと」
笑顔で問う真斗に対して元親は笑顔で頷く。
「ああ、そうだ。お前は俺にとっても実の弟の様な存在だから殺したくはない。だから下ってくれ、俺達と共に天下統一なそう」
元親から申し出に真斗はフッと笑い、首を横に振る。
「ありがとうございます
真斗の固い意思を聞いた元親は大いに涙を流す程に笑い出す。
「そっか!やっぱり俺じゃ駄目か‼でも安心した!分かった。武士として友人として全力で相手をしよう!」
「ええ!俺も全力で
そして二人は笑顔で厚い握手をする。
「それじゃまたな。真斗」
「ああ、またな。
元親は乗って来た
「ねぇ
真斗の右隣に現れた
「うん、それはなぁ。友情と言うな絆はそう簡単には千切れない。例え敵同士になっても
真斗は信条を聞いた
「なるほど。流石、真斗様ですね」
そして真斗は振り向き、腰に提げている
「皆の者!これより長宗我部との
それを聞いた源三郎達や他の船の船上に居る鬼龍軍の足軽達も手に持つ刀や和槍、
「「「「「「「「「「おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」」」」」」」」」」
一方の元親も真斗と同じで船上で
「お前らぁ!奥州の鬼神はやる気満々だ‼例え敵同士でも武士として四国の物として誇りに掛けて正々堂々と戦うぞぉーーーーーっ‼」
元親は腰に提げている愛刀の
「「「「「「「「「「おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」」」」」」」」」」
ここに奥州の鬼神、真斗と四国の鬼武者、元親との海上の決闘が始まるのであった。
■
それから一時間後、両軍の戦闘準備を終えたのと同時に雨が降り始める。海は荒れてはいないものの降る雨はまるで始まる
真斗と元親は艦首に立ち、お互いの艦隊を見ながらニヤリと笑う。
「「さぁ‼鬼同士の
そう同時に真斗と元親が言うとお互いの足軽が大太鼓と
「「いざぁ!出陣‼」」
「「「「「「「「「「おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」」」」」」」」」」
真斗と元親の号令で両軍の艦隊は一斉に動き出し、
鬼龍水軍と長宗我部水軍が衝突してから約一時間、
両軍の家臣達や足軽達の叫び声、
真斗が乗る
「流石!元親の
真斗は笑顔で左右の船の手摺に配置された置楯の影に身を低くして隠れ、手に持つ火縄銃一型に火薬と弾を素早く装填する。
すると二隻の長宗我部水軍の
「よーーーーし!船を寄せろぉーーーーっ!乗り込んで敵将の首を討ち取るぞぉーーーーーーっ‼」
「「「「「おぉーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」」」」」
それを置楯の物影から見た真斗は立ち上がり、物影から出ると火縄銃を手放し
「皆の者‼長宗我部軍が乗り込んで来るぞぉーーーっ!鬼龍軍の一兵として返り討ちにしてしまえーーーーーーーーっ‼」
「「「「「おぉーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」」」」」
真斗からの大きな号令で鬼龍軍の足軽達は火縄銃や
そして二隻の長宗我部水軍の
真斗や他の鬼龍軍の足軽達は仲間が打ち倒さる中でも鬼神の如く、次々と乗り込んで来る長宗我部軍の足軽達を倒して行く。
血しぶきや斬られた腕や足、首が飛び交う中で真斗は自分に襲って来る長宗我部軍の足軽達を斬る伏せ、時には刺し海上に向けて蹴り飛ばしいた。
「首を置いて
真斗は大量の返り血で汚れた事で鬼の形相がより一層、恐ろし物となり長宗我部軍の足軽達は、そんな真斗との姿に恐れ生唾を飲みながら後ろにジリジリと下がる。
一方の元親の乗る
「流石!伊達と島津の流れを組む鬼龍の足軽達だ‼でも!我ら海と共に生きる長宗我部だって負けられるかぁーーーーーーーっ!」
元親は笑顔でそう言いながら愛用の一つである十文字槍を両手で持ち、迫って来る鬼龍軍の足軽達を次々と倒して行く。
水柱が上がり、お互いを沈めようと激しい砲撃戦の中で平助が乗る
「よーーーーーし!船首砲台!砲撃よーーーーーーーーい‼」
艦首に立つ平助からの号令に艦首の二門の砲門が開き、日本でライセンスと改修生産されたイギリス製の24ポンド長身砲が押し出される。
そして素早く24ポンド長身砲の後方にある装填口から紙に包まれ一体化された弾頭と火薬を装填する。そして砲の上にある穴に細い串棒を入れ、火薬の詰まった紙に穴を開ける。そして更に砲の上にある穴に火薬を入れる。
「砲撃準備完了ぉーーーーっ‼」
「
平助からの伝令に一人の足軽が火打石で火薬が詰まった穴に向かって火花を飛ばし、発射する。
物凄い発射音と共に煙と火を噴き、球体型の砲弾が長宗我部水軍のコルベット艦に向かって高速で飛んで行く。
平助の
それを見た多くの鬼龍水軍の足軽達は歓喜の声を上げる。
一方、返り血で汚れながらも殆どの鬼龍水軍の足軽達を倒した元親が、その光景を見て少し愕然とする。
「くそ!俺の大事な船が‼︎しかし弱ったなぁ!こんなに倒してもまだ敵の勢いが弱まらないなぁ!」
するとそこに
「元親様!大変です‼︎我が水軍が劣勢に!しかも残ったコルベット艦や他の船も次々と鬼龍水軍に拿捕されております!このままでは全滅します‼︎」
足軽隊長からの報告に元親は苦虫を噛む様な表情で歯軋りをしながら拳を
「仕方ない!勝負は時の運だ‼︎全て家臣と足軽に伝えよ!
「はっ!」
足軽隊長は軽く一礼をし、素早く伝令を伝えに向かった。そして元親は前を向くとニヤッと笑う。
「アッパレだ、真斗よ。この四国の鬼武者、長宗我部 元親を打ち破るとは」
向こうに居ると思われる真斗に向かって元親は賞賛の言葉を送った。
一方、返り血で汚れた真斗は倒した長宗我部水軍の足軽達で
「皆、
「では深追いしますか?」
真斗と同じく返り血で汚れた
「いいや。深追いは無用だ。元親
「はっ!直ちに!」
足軽隊長は軽く一礼をし、艦尾へと向かう。そして
すると真斗の勝利を祝福するかの様に雨雲が晴れ、神々しい
「長宗我部水軍は引いた!皆の者‼︎これにて合戦は終わりっ!我らの勝利だぁーーーーーーーーーーっ‼︎」
「「「「「「「「「「えい!えい!おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼えい!えい!おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼えい!えい!おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼えい!えい!おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」」」」」」」」」」
こうして
あとがき
鬼龍水軍と長宗我部水軍との激しい海上戦、上手く書けたと思います。
次回は日本三大水攻めの一つ“備中高松城の水攻め”を描きます。
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