第 肆 話:真斗の想い
翌日の朝、平安京伊達家武家屋敷に設けられた陶磁器用の
「うーーーーーーーむ。駄目だ!こんな鉢じゃ
真斗の周りには割れて壊れた鉢がいくつもあった。
「
笑顔でお盆に乗ったお茶が入った湯飲み茶わんを持って源三郎が現れる。
「そうだな、
そして向かう様に胡坐で座る真斗と源三郎はお茶を飲み、一服しながら真斗は源三郎にある事を問う。
「
「はい。書物で見ましたが、仏教を開いたお釈迦様、ブッタ様が四天王に差し与えた石の鉢です。遥か遠い
落ち着いた表情で答える源三郎、それを聞いた真斗は右手で下顎を触りながら考える。
「お釈迦様の鉢か・・・うーーーーむ。なんか想像がつかんな。
「どな鉢か・・・少し待って下さいね
そう言うと源三郎は両腕を組んで記憶呼び起こす為に深く考える。そして源三郎はハッと記憶が蘇る。
「あぁーーーーっ!思い出しましたぞ
源三郎の口から出た仏の
「ありがとう、
真斗が笑顔で感謝を述べると源三郎も笑顔になる。
「いいえ。
源三郎からの問いに真斗は自信に満ちた明るい笑顔で答える。
「本物を渡すより手作りの方が相手に俺の気持ちが伝わるだろ。だからだよ」
源三郎は真斗の真っ直ぐな目に納得がいく。
「分かりました
「ああ、ありがとう
「はい。屋敷の寝室に布団を用意してありますので」
「ありがとう、
そう言うと真斗は立ち上がり、源三郎も立ち上がる。そして二人は屋敷へと向かうのであった。
⬛︎
それから二時間、仮眠を取った真斗は鶴瓶式の井戸で歯を磨き、顔を洗い再び鉢作りを再開する。
そして遂に真斗がイメージした望む蜂が完成した。
「おお!やった遂に出来たぞ‼︎
「分かりました、
笑顔で言う源三郎からの指摘に興奮していた真斗はハッとする。
「ああ、そうだった。すまぬな
「ハハハハッ
「分かった
「お任せ下さい
そして真斗は出来た鉢を源三郎に渡し一人、屋敷へと向かい風呂場へと向かう。
風呂で汗を洗い流し数人の奉公の女性達の手で身なりを整えた真斗は屋敷の門の前に源三郎が用意した
「よし!では参ろうか
真斗は笑顔でそう言うと愛馬の
「はい。では行きましょう
そして二人は愛馬をゆっくりと走らせ
「それで私の望む物は手に入りましたか?」
「はい。こちらが
真斗は
「おお!これは素晴らしい鉢ですな!」
「確かに!これは美しいですわ!」
「この鉢は本物ではありませんね。しかも手作り。なぜ本物を探さなかったのですか?」
源三郎とほぼ同じ問いに真斗は笑顔を崩さずに答える。
「私は貴女様に本当の気持ちを伝えたく手作りの品にしたのです。
真斗の真意を突く発言に
「それは真斗様の憶測です。でも、いいでしょう。まだ残りの品があります。残りを持って来るまでは何とも言えませんので」
(
そう心の内で語る真斗は笑顔で深く一礼をする。
「分かりました。必ず
そう言うと真斗と源三郎は立ち上がり軽く一礼をする。
「では
笑顔で真斗は去る言葉を言い、
その日の夜、
「改めて見ますと美しいですわ。確かに本物以上の何かをこの鉢から感じるわね。何か温かい物が」
どんな男から求婚の為に受け取った品はどれも冷えた気持ちしか感じなかった。でも真斗の品からは人の温かみ、そう、純粋な何かを感じ取った
あとがき
原作の『竹取物語』内でかぐや姫の求婚の条件として出された無理難題は私の独自解釈で“本当に自分を想っているか、試した”と思っています。
私から見て、かぐや姫に求婚した五人の貴族はただ美しい、かぐや姫を飾りとしか見ていないと解釈しています。
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