第 拾壱 話:三日月の初夜
桶狭間の戦い終結から三週間後、日中の会津城では
(真斗が会津を発って約四週間が経つわ。無事でいるかしら?)
「どうしたんですか
愛菜の問い掛けにハッとなった
「うんうん、何でもないわ」
「隠さなくていいんですよ。兄上の事が心配ですよね」
愛菜に真意を突かれた事で
「うん・・・真斗、夫は無事にここに戻って来るわよね愛菜?」
城を出る前に真斗と約束を交わしたとはいえ
そんな彼女の姿を見た愛菜は笑顔で優しく背中を撫でるのであった。
「大丈夫ですよ
「どうしてそんな事が言えるの愛菜?」
「言えちゃうんですよ。
するとそこに源三郎が慌てながら
「
源三郎からの朗報に
「本当に‼︎本当に真斗が帰ってきたの!」
「はい!しかも大量の米俵と千両箱、それに食材を乗せた荷車を引いて戻られました‼︎」
「愛菜!」
「だから言ったでしょ
「ええ愛菜!早く行きましょう‼︎」
そして
「お帰りなさいませ!兄上‼︎」
「
「お帰りなさいませ。旦那様」
「殿、お帰りなさいませ」
愛菜、源三郎、そして先に門にいた
「ただいま!皆!ただいま!
「お帰りなさい!真斗!本っ当に無事でよかったわ‼︎」
嬉し涙を流す
⬛︎
少し時間が経って夜、城屋敷の大広間では真斗の無事を祝う宴会を城の者達や城下の者達を交えて行われていた。
宴会料理の内容は今川 義元を討ち取った褒美として信長から頂いた尾張の土地で採れた新鮮な白米と雪女達の手によって凍らせた伊勢湾で採れた新鮮な魚介類を使った、お寿司である。
胡坐で上座に座る真斗は酒を飲みながら笑顔で桶狭間の戦いを熱く語っていた。
「それで俺は今川軍の足軽達を次々と倒す中で恐れて逃げる今川 義元を見付け、俺は急いで持っていた和槍を投げ捨て愛刀を抜き、義元の背中を一振り斬り付けた!そして止めとして義元の心臓に目掛けて一突き!最後は義元の首を討ち取ったのだ!」
話しを聞いた者達は真斗を拍手喝采するのであった。一方の源三郎と愛菜、
「うん!これは美味い!さすが伊勢湾より獲れた海産物じゃ‼」
「
「本当に美味しいのぉーーっ!平安京で食べた寿司にも引け劣らぬ美味さじゃの婆様!」
「ええ!そうですね爺様!特にこの
だが、祝いでめでたい雰囲気の中でただ一人、
そんな彼女の姿に愛菜は食べる手を止め、笑顔で近づく。
「どうしたんですか
「ええ。愛菜、無事に真斗が帰って来たのは嬉しいけど何故かは分からないけど、まだ凄く寂しいの」
「その気持ち、私もわかります
そして愛菜は握った
「でも亡き母上がいつも言っていましたの。“愛する人が
愛菜が大切にする母の言葉を聞いた
(そっか。私は今まで貴族の中での生活だったから知らなかった。武家に嫁いだ人達は皆、こんな想いを抱えて生きているんだ。だからそこ無事に
「ありがとう愛菜。貴女と真斗の亡きお
笑顔で礼を言う
「いいんですよ
愛菜は小悪魔的な笑顔で初夜を進めると
「なななななっ!何‼︎言っているの愛菜⁉︎ああああっ‼︎貴女は!女でしょ!きききききっ!
慌てふためく
⬛︎
宴会もお開きとなり、騒がしかった城屋敷は静かとなり鈴虫の綺麗な鳴き声が響いていた。
そして夫婦専用の私室である和室の窓から見える綺麗な三日月を少し考える様な表情で
(確かに愛菜の言う通りだわ。結婚してからすぐに引っ越しだったし、しかも
などと
「おーーーーい!
突然、真斗からの二人きりの提案に
「え⁉あ!あ!いや‼・・・・・勝手に入ってぇ‼」
「あぁ・・・ああ、分かったぁ・・・」
真斗は落ち込みながら襖を閉め、自室を後にする。すると次の瞬間、
「どどどどどどど!どうしよ‼どうしよ‼どうしよ‼どうしよ‼どーーーーーうしよーーーーーーーっ‼何で私!あんな事を言っちゃたのよぉーーーーーーーーーーーっ‼」
物凄い羞恥心に駆られた
「いいえ!まだよ!ここで犯した失態は必ず挽回しなければ!しかし、どうやって?」
「そうだわ!お風呂!でも裸は・・・ちょっと、いや!ここで恥じて逃げるのは武士の恥!(私!武士じゃないけど!)」
汚名挽回の覚悟を決めた
着ていた和服を脱衣場で脱ぎ、湯気抜けの窓から月光が差し込む大風呂で真斗は汗を洗い流し湯舟に浸かっていた。
「はぁーーーっやっぱり、一緒に入るのはまだ早過ぎたかなぁ?でもまぁー確かに急に言われたら
真斗は悲しくも情けない表情で独り言を言っていると風呂場の戸が開き、誰かが入って来る。
「ねぇーーーっ真斗。いっしょに入っていい?」
「ああ、いいぞ。遠慮せずに入って・・・・っ⁉‼⁈」
振り返った真斗は言葉を失う程に驚く。なぜなら大きな手拭いで胸と股を隠し、長い黒髪を後ろで短く結んだ裸の
「じゃあ遠慮なく、失礼しまーす」
すると
(ああ!えぇぇぇぇぇ⁉いやっ!・・・ちょっと待て‼何んで!どうして‼さっき物凄く断れたのに‼なんで
真斗は今、起こっている現状が理解できず顔を赤くし混乱していた。
「ねぇ真斗、ちょっといい?」
「はっ!はい‼︎」
「ごめんなさい真斗。さっきの誘いは本当は嬉しかったの。でもある事を考えていた最中で急な事でついに」
悲しい表情で謝罪する
「そうだったのか。よかったぁ〜〜〜ってっきり嫌われたかと。それでどんな事を考えていたんだ?」
「うん。実は・・・」
「ふはははははははっ!何だ!そう言う事かぁーーーっ‼︎あっははははははははっ‼︎」
「んもぉーーーーーっ‼︎笑い事じゃないのよ‼︎」
笑い出す真斗に対して
「ああ!ごめん!ごめん!お前の真剣さに笑ったんじゃなくて愛菜の方だよ」
「え⁉︎愛菜に?」
「ああ。あいつ亡き母上の生き写しかって位に似ていてなぁ。恥じらいの無さとか、大胆過ぎる考え方とかが凄くなぁ」
「そうなんだ」
すると真斗は笑顔で
「すまないかった
真斗からの埋め合わせに
「真斗!ありがとう!愛しているわ!」
「ああ、俺もだよ
そして月明かりの元、二人はキスをする。
⬛︎
風呂場を出て浴衣に着替えた真斗と
そして二人は布団の上に正座し、笑顔で向かい合っていた。
「じゃ
「ええ、いいわよ真斗」
真斗は
真斗の体は細身なわりにしっかりと鍛え抜かれたガッチリとした肉体で、一方の
そして真斗は優しく
「それじゃ
「うん。貰って真斗、私の
「ああ、いいぞ
そして真斗と
その後、二人は理性の
真斗の力強さに
そして時は経ち
「もーーーお。真斗ったら!いくら初めてでも飛ばし過ぎよ」
「あはは!ごめん!ごめん!お前が俺を求める姿に興奮しちゃって」
「ねぇ真斗は生まれて来る私達の子供は男の子がいい?それとも女の子がいい?」
「そうだなぁ・・・男の子かなぁ。あぁでも女の子もいいな。どっちにしようかなぁー」
「んふふっ私も正直、迷っちゃうわ。だったら
「おお!そうだな。そうしよ」
熱く激しく愛し合った後の真斗と
あとがき
今回の話しはかなり攻めた描写となってします。言葉の表現で最悪、
今回の描写はライトノベル、『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』の主人公“ルーデウス”とヒロインでハーフエルフの“シルフィエット”との初夜をイメージモデルにしています。
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