第 弐拾弐 話:大罪と争い
真斗達は
晴天の会津、兜を脱いだ状態で甲冑を着こなした真斗達は愛馬で城下町をゆっくりと進んでいると多くの人達から明るく帰還をまるでお祭りの様に出迎えた。
「おお!ここまでの出迎えだと少し困っちゃうなぁ」
愛馬の
「はははっ!
真斗の隣を
「ああ、そうだなぁ。それよりも早く
「そうですな。では少し急ぎますか
「ああ、そうするよ
真斗は笑顔で振り向き、後に続く平助、左之助、忠司に言うと三人は笑顔で頷く。
「分かりました
「そうですね。少し急ぎましょう」
「なんなら
忠司からの提案に源三郎は同感する様に頷く。
「確かに忠司の言う通りだぁ。では
「分かった
真斗は笑顔でそう言うと手綱を軽くしならせ
草鞋を脱ぎ、城屋敷へと上がった真斗はウキウキとした気分で私室へと向かう。そして私室の襖の前まで来ると引き手に手を掛ける。
「おーーい!帰ったぞぉーーーっ!うおぉ⁉」
襖を開けた真斗の目に飛び込んで来たのは綺麗な着物を着こなし正座をし、楽しく会話をする
「あ!兄上、お帰りなさいませ」
「ああ!真斗!お帰りなさい」
愛菜と
「お!おい‼
驚く真斗を不思議そうな表情で
「この方は私の幼馴染で名は乙姫と言う。乙姫、こちらがこの城の城主で名は・・・」
「真斗⁉」
湯飲み茶わんに入った緑茶を一口、飲み襖の方を見た乙姫は驚きの余り湯飲み茶わんを落とす。そして急に立ち上がると乙姫はいきなり真斗に抱き付くのであった。
「真斗!ああ!また!またお会い出来るなんて!」
乙姫が嬉しそうに真斗に抱き付く光景に
「ねぇ真斗、乙姫と知り合いなの?」
「いや!これは!その!あの!」
すると乙姫は答えが出ない真斗からゆっくりと離れ満面の笑みで真斗の代わりに答える。
「実はね
「「はっ‼」」
それを聞いた
⬛︎
それから真斗は
「じゃ沈んでいるところを乙姫に助けられたけど、出された料理と酒に仕込まれた青
真顔で言う
「ああ、本当に申し訳ない
すると真斗は自ら着ていた胴を外し、下に着ていた小袖で姿となり両手で前を大きく開く。そして腰に提げている
「愛菜!すまないが、俺の愛刀!
それを聞いた
「兄上、この鬼龍 愛菜!兄上の後を継ぎ会津とこの奥州を!政宗の伯父上をお守りします!」
愛菜の強く固い決意の表情を見た真斗は笑顔で頷く。そして覚悟を決めた表情で抜いた小太刀を両手で持ち刃先を鍛え抜いた腹部へと向ける。
「父上!母上!
そして真斗は小太刀の刃先を勢いよく腹部に向けて押すのと同時に愛菜は
「馬鹿な真似はやめなさい‼真斗‼愛菜‼」
これまで見せた事ない
「真斗!貴方の私に対する懺悔は裏を返せば私を心より愛している証。それを示したのであれば切腹の必要はなし!」
そして
「この戦乱の世で武士が人身の血を絶やさない為に
「そ!それじゃ!」
真斗が確信した表情となり持っていた小太刀を捨て両手を床に付ける。その光景に
「鬼龍 真斗!貴方様の正室である鬼龍
真斗に引け劣らない勇ましい武士の様な態度と表情に真斗は感銘し、
「「ははぁーーーっ!」」
真斗と愛菜は深々と
一方の見ていた乙姫は
「
乙姫は笑顔で問うと
「ええ、そうよ。もしかして正室だっと思ったの?武士の正室はただ一人よ。
それを聞いた乙姫は右目の下をピクッとさせると持っている扇子を広げ、口元を隠しながらクスクスと笑う。
「あらあら、いつから正室は一人だけと決めたのかしら?まぁーいいですわ。いずれ私も正室になりますので」
「ふふふふっそれは楽しみですわ。そんなお花畑の様な考えが実るのはシワクチャの
その光景と感じて来るオーラに頭を上げる真斗と愛菜は少々、冷や汗を流しながら生唾を飲むのであった。
⬛︎
それからは真斗の大広間に集まった源三郎達に乙姫の事を全て話し、改めて彼女を自身の
さらに海中の竜宮城は突貫工事で会津城の一部を拡張させ場所に術を使い移し、女官達は乙姫だけでなく鬼龍家一門の従者達として仕える事となった。
とある日の夕暮れ、真斗は私室で
「え?瀬戸内海へ行ってみたい?」
胡坐をする真斗からの問いに正座をする
「ええ、そうなの。大阪より先には行った事がないの。一度でいいから出雲大社にも行きたいの」
「確かに。俺も出雲大社には行った事はないな。よし!しばらくは
真斗は明るい笑顔で
「あらあら、私に内緒で新婚旅行のお話?」
そう言うと乙姫は私室へと入り、二人の間に割って入る様に正座をする。
「
嫌味を感じさせる笑顔で言う乙姫の姿に
「別に私は構わないわよ。私を慕う人達は多いから誰かが“乙姫は
まるでお返しをするかの様に笑顔で言う
(なるほど。流石、
乙姫が心の内で語る一方で
(乙姫は昔から相変わらず意地悪な事を言うわね。でも、そんな幼稚な煽りでうろたえないわよ。何を言おうと私は絶対に折れないわよ)
そんな二人の女の争いを見ていた真斗は少しイラッとし、右手の平を畳に叩き付ける。
「二人共!俺の目の前で醜い争いをするなぁ‼俺の妻になった以上!くだらん争いをするのであれば‼この場で叩き斬る!」
真斗からの殺気を感じる一喝に二人は昂っていた気持ちが収まり、申し訳ない表情で真斗に向かって深々と頭を下げる。
「「も!申し訳ありません‼」」
二人の謝罪する姿に真斗は溜息を吐き苦笑いをするが、瞬時にクスクスと笑う。
「まぁいいか。それじゃ乙姫を連れて行くから機嫌を直せ」
「本当に⁉やった!」
喜ぶ乙姫に真斗は待ったと右の手の平を向ける。
「ただし旅をしている最中で
真斗から出された条件に乙姫はウッとなり、少し苦虫を嚙み潰した様な苦笑いをする。
「うーーーん、分かったわ。真斗がそう言うなら仕方ないわね」
「よし!決まりだな。
真斗が笑顔で言うと
「ええ、私は大丈夫よ。大人しくしてくれるなら何も不満はないわよ」
そう言いながら
乙姫はそんな笑顔の
「「フッ!フフフフフッ!フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフッ!」」
二人はお互いを笑いないながら睨み付け、強い視線をバチバチとさせる。
(はぁ~~~~~~っまったく、喧嘩するなと言ったのに。と
二人の喧嘩を見ていた真斗は心の内で呆れ呟きながら、やれやれと言う表情で片手で頭を抱えるのであった。
あとがき
本当は瀬戸内海を舞台にする予定でしたが、思った以上に真斗の人間性と
次回から前話の予定の話しをしますので、応援よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます