第22話 変化①

 橋本に言われたことを少し気にしてしまった。そういえば飲み会って、もう1ヶ月も行ってないのか。前は、すぐにトキメキが欲しくて楽しいから、よく参加していたけど。今は誘われなくなったからか、ここのところ行っていない。前の俺から変わることが不安だったけど、でも作ることが楽しいし。そんなったものは作れないし、きっと料理出来る人からしたら大したものじゃないかもしれないけど……。なんで、心が引っ掛かっているんだろう。頑張って、作ったのにな。婚活か……そういう風に見えるんだ。


 確かに橋本は、仕事も積極的でバリバリで結果も出せる。華やかさがある。俺は、そこまでなくて地味だけど、楽しいことは好きだし、ただ仕事はパッとしないんだよな。モテるのは、橋本の方だし俺は盛り上げ役なところもある。時計もカッコ良かったよなぁ……はぁ。比べても良いことは無いって、分かっているんだけど、どこかで嫉妬しっとしている自分がいた。ダメダメ、俺も頑張った。おかずも何品か、簡単なのは作れるし……でも、何だろうな、何だろうこの虚無感きょむかん


「誰かと話したいなぁ。この作った大変だったこととか、食べる時の嬉しさ」


 でも作ったものは簡単だし、1人で盛り上がっているだけだと恥ずかしいか。どうしようかな、連絡してみようかな。別に、元気?みたいな感じで。気づいたら、沢村を思い浮かべていた。お昼の弁当を作ったって言ったら何て言うかな、笑われるかな。ずっと、思い浮かべては想像していた。


 別に連絡はしてみないけど、連絡先を開いてみた。沢村……沢村…沢村花穂さわむら かほ。もう、誰だか忘れてるかな。いや、でも食べることに対しては異常にこだわっていたから覚えているかも。1人で自問自答してみる。


 はぁ、何やってんだ俺。自分で盛り上がって、気づいて冷静になると落ち込んでいる。そんな自分に恥ずかしくて、落ち込む。前は積極的に行くか、興味がないかなのに。迷うって何だよ。


「ああ、分かんね。ちょっと、休もう」


 気分転換に、外に向かった。



















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