第18話 反省

 昼休み、1人になりたくて外のベンチで昼食を食べた。天気は雲一つない青い空で暖かくてボーっとするには最高の日だった。買ってきた弁当と、テイクアウトしたカフェラテを片手に休憩を過ごす。いくつかあるベンチは、それぞれお弁当を持ってきた会社員の女性や、サラリーマンのおじさんが座っていた。はぁ、昨日はなんで計量スプーンを買いに行くだけなのに、飯食って、買い物なんてしたんだろう。熱いカフェラテをグビっと飲む。あ~、カフェラテが身に染みる。


 なんだろうなぁ、この気の重さは。昨日は、計量スプーンを買いに行くだけだったのに、飯食って買い物してしまった。気のない女と飯食って買い物は、良くないよなぁ。そのまま、早く帰れば良かった。何かしらの言い訳して……ああ、これが俺の悪いところだよな。ずっと、この後悔がグルグルと頭をまわっている。


 優柔不断ゆうじゅうふだん、だらしない、流される……振られた言葉は数知れず。最初は、くっつくと楽しいんだけど、後からそれが出てくるとぶつかって終わる。その繰り返しだ。好きになったのに、なんで最後は泣かせてしまったんだろう。


「ああ、ダメだ、ダメだ」

 惰性だせいで流されそうな気持ちを止めるようにして、天をあおぐ。目を閉じると、そのまま眠ってしまいそうだ。分かったことは、女友達の付き合いは難しすぎて、彼女との距離感がよく分かっていないダメな奴だってことだ。と、いうことは、ちゃんとした恋愛が出来ない。その為には、しばらく恋愛はしない……と自信のない結論が出た。いや、相手を傷つけるので、ちゃんとしよう。


 よし、しばらくは仕事を頑張ろうかな。すくっと立ち上がった。


 デスクに戻ると、同期の橋本が近づいて小声でささやいた。

「お前、いつまで恋愛休んでいるんだ」

「なんで?」

「来週、合コンあるんだけど、どうしても1人足りなくて」

「う~ん、ごめん。やめとくわ」

「頼むよ、別に途中帰ってもいいからさ」

 橋本、あれだけ恋愛休んだ方が良いって言ったのに。心がれてしまう。

「ごめん、他のヤツに声掛けて。俺、恋愛しばらくいいや」

「そうか、わかったよ」

 少し不貞腐ふてくさ気味ぎみな橋本は、離れて行った。椅子に座って、フーッと大きく息を吐き出す。

「しばらくはいいや、恋愛は」

 気持ちが起きない。きたとかじゃない、疲れたとかもあるけど、本当に好きな人と恋愛がしたい。ビンタはされてないけど、水をかけられたりするのはつらい。いや、今までちゃんと考えたことなかったけど相手を傷つけて、悲しませる顔を見るのが嫌だ。自分のことしか考えていなかったから、相手の気持ちをよく分かってなかった。


 俺は、ちゃんと恋愛が出来るのだろうか。もう、人を好きになって傷つけないように出来るだろうか。窓の外は雲一つない青空だった。























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