第19話 連絡

 あれから、1ヶ月ほど経ったくらいだった。毎日、会社行って仕事して買い物して帰る。しばらく、恋愛はお休みして普通に過ごした。夕飯の買い物をテーブルの上に置いて、手を洗う。そして、スピーカーから音楽を流して、カフェラテを入れて一息つく。音楽は、その日の気分によって好きなリストを流したり、適当に流したり。着替えて、エプロンを着けて夕飯を作り始める。最初は、その習慣が面倒臭かった。でも音楽を流すと、その面倒な気がまぎれて味噌汁を作り始めている自分がいる。


 ご飯を作って食べて、お風呂に入って、ボーっとするか、なんか好きな事をするか。会社帰りに飲みに行くことも、友達に誘われる以外はなくなったから家で過ごしている。前までは、1人でも適当に外で時間をつぶして帰っていた。とりあえず、街を歩いて、お店を周って見たり、何も買うものが無くても歩いていた。


 沢村に連絡してみたいけど、怖い自分がいた。別に、意識している訳じゃないんだ。ちゃんとしようと思ってから、1人の時間を家で過ごしたかった。多分、一人暮らしの部屋は静かすぎて寂しくて、騒がしい外で過ごしたかったのかもしれない。


 そうすると、休日の過ごし方も変わった。これまでは、休日の前は遅くまで外で過ごしているか、夜更よふかししまくって昼まで寝ていた。でも、今は朝に起きて昨晩に作った味噌汁と冷凍ご飯を温めて、朝食を食べている自分がいる。食後のカフェラテ付きで。面倒な時は、そのままコーヒーを飲んでいる時もある。


 俺って、つまんない人間になったのかなぁ。


 きっと、普段何してるんですかの質問の答えは、味噌汁作ってますってなるんだろうな。買い物とか映画とか言ってたけど。いいや、家でご飯と味噌汁作って食ってますだな。料理と言うにはハードルが高い。モテないよなぁ、いいや。


 いや、俺に足りなかったのは真面目まじめという名の辛抱しんぼうだ。そうだ、少しずつ変えていけばいいのだ。


 よし、もう少し頑張って、しばらくしたら連絡してみよう。待てよ、しばらくなんて中途半端ちゅうとはんぱだな。何か、目標を考えた。いつも、味噌汁とご飯だけなので、おかずを作れるようにしよう。5品作れるようになったら、連絡しよう。そしたら、沢村との会話のネタも困らないだろう。


 おかずかぁ、5品って何が作れるかな。あ、好きなおかずにしよう。候補こうほを選んで、休みに作ってみよう。普段、味噌汁で具材は切ったり、溶かしたりしているから、初めよりはマシだろう。ちゃんと何かを達成して、連絡を取りたかった。別に、連絡が恥ずかしいとか、そういうのじゃない。



















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