第11話
サクラはパンケーキのたねを一枚分だけ魔法で宙に浮かせると、フライパンの上に形を整えながら入れた。
あとは焼けるまでひっくり返しながら待つだけだ。
「そっちはどんな感じ?」
サクラは後ろで作業をしていたアロイとハヤテの様子を見る。
ハヤテはイーゴを切り終え、バーナを切っていた。
アロイはまだ生クリームを混ぜている。
「アロイまだ終わらないの?」
流石に時間がかかりすぎだと思ったサクラは、ひょこりとアロイの手元を覗き込む。
そこにはツノをたて、ふわふわになった生クリームがあった。
「もうやめていいよ」
アロイは止めるサクラのことを見向きもせず、ひたすら混ぜ続ける。
「もうやめていいよ」
もう一度サクラがそう言うと、アロイは顔をあげてサクラに言った。
「楽しいからもう少しだけ…」
「やらなくていい! ていうか、もうやめて!?」
サクラは食い込み気味にそう言って混ぜ続けようとするアロイから生クリームの入ったボールと泡立て器を取り上げると、アロイの手が届かないように魔法で結界のようなものを作り囲んだ。
「あぁ、もう少しやりたかったのに!」
アロイが目の前にあるのに届かないことを悔しがりながらそう叫ぶ。
「もういいからリリーフィアと遊んでて! ハヤテももういいよ」
サクラはハヤテに感謝を伝えると、切ってもらった果物を焼けたパンケーキにトッピングしていった。
***
「リリーフィアっ、なにしてるの?」
遊びにきたスカイはリリーフィアの周りを飛び回る。
「今サクラたちがおやちゅつくってくりぇてるから待ってるの。 スカイはなにしにきたなの?」
リリーフィアはお気に入りのうさぎのぬいぐるみを抱きしめながら首をかしげる。
「遊びに来たんだよ。 今日はあまり一緒に居れなかったからさ、少しだけ遊ぼう?」
スカイは小さな手をリリーフィアに差し出すと笑った。
リリーフィアはスカイの意図に気が付いたのか、ぱあっと笑顔を咲かせると、スカイの手を握った。
「そ~れ!」
スカイはリリーフィアのことを風で巻き上げブンッと上に放り投げると、なぜか部屋の天井から釣り下がるブランコに優しく着地させた。
そしてそのまま魔法を使ってブランコを動かす。
最初はゆっくり、徐々に速く、そしてまたゆっくりと…
揺れに強弱をつけながらブランコを動かし続ける。
動いたままのブランコからリリーフィアが飛び降りれば、風に乗せてそのまま滑り台へ。
滑って降りればその下にはふわふわクッションが…
その上で跳び跳ねれば風魔法であっという間にトランポリンに早替わり。
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