第41話
それなのになぜこんなにもためらっているのかと言うと…
「また人の国に行くのか… クレ、グラウィルに会えるのは嬉しいが、揉め事には巻き込まれたくないな」
「やっぱりダメ? 無理なら無理って言って… 僕、ひとりで頑張るからいいよ」
「いや、ダメって訳じゃない。 ただ面倒なことになる予感がしただけだ。 お前のことは助けるから安心しろ」
フィーディアンはしょぼんとしていたペガサスの子を手にのせると、たてがみを撫でた。
「やった~! あした、明日ママのこと探しに行ける!?」
ペガサスの子はフィーディアンの手のひらの上で、ぺちぺちと音を立てながら足踏みをする。
「わかった、分かったから落ち着け」
フィーディアンが少し戸惑っている間に、ひょいっと横からリューティシアがペガサスの子を自分の手に移動する。
「ねえペガサスちゃん、あなたの名前は何て言うの?」
「えっと、僕はリュクスだよ。 妖精さんは?」
無垢な瞳をきらきらと輝かせながらリュクスはばさりと翼を羽ばたく。
「私はリューティシア。 そしてそこでご飯を食べているのが私たちの姫、リリーフィアよ」
「あの子が愛し子様か~。 想像よりもかわいいね」
リュクスは興奮を隠しきれずに、頬を赤く染めながらリリーフィアに近づく。
「ねぇ愛し子様、僕はリュクスだよ。 よろしくね! …愛し子様? ねぇってば!」
反応の鈍いリリーフィアのことを前足でつんつんとつつきながらリリーフィアの顔を覗き込む。
「うう~ん……」
「「………」」
リリーフィアの顔を覗き込んで、みんなはすぐに気が付いた。
「……リリーフィア、寝てない? って言うか、よくよく考えたらリュクスが出てきた辺りから机に突っ伏してたよね!?」
シャラーティルは大きな声でそう言った。
「姫が起きるでしょ!」
「うぅ、痛い…」
リューティシアに思いっきりぶたれて涙目になるシャラーティル。
「なんだろう… この光景、すごく見覚えがあるような…?」
スカイがチラリとサクラの方を向く。
スカイの視線に気が付いたサクラは、ふいと横を向いて知らん顔をする。
「そんなことをする暇があるならリリーフィアを部屋に連れていくぞ」
フィーディアンは眠るリリーフィアのことを抱き上げながら、ふざけ続けているシャラーティル達をたしなめる。
「「は~い」」
シャラーティルとリューティシアも、納得してはいなさそうだが、フィーディアンの言葉に従う。
その後をサクラ達も追っていく。
「リュクスもおいで。 明日に備えて一緒に休もう?」
「ふぁ~、わかった。 僕も少し休むね…」
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