第7話

「もういい、もう良いよ、リリーフィア… 頑張ってくれてありがとね」

アロイは辛そうな表情のままリリーフィアのことを優しく止める。

「や!なの… なおりゅまでちゅづけるのよ! ありょいがえがおになりゅまでがんばりゅのよ!」


変化は突然やってくる…

リリーフィアがそう言った途端、辺りの草花が金色の淡い光を纏い始めた。

そしてリリーフィアの瞳は綺麗な青からすみれ色へと変わった。

リリーフィアの撫でた部分からどんどん治っていく。


「って、えっ? ちょっ、ちょっと待って!?」

「なにが起こってるの!?」

「リリーフィア!?」


サクラ達はそれぞれ驚き、目を点にさせつつも治っていく様子を見守っていた。

それはどこからかくる光の粒が集まっているようで、でも妖精の羽が生まれていく…

なんとも素敵で、幻想的な様子だった。

そして最後には纏っていた藍色の光までもが完全復活をする。

それと同時にリリーフィアの瞳の色も元の青色へと戻った。


「なおったなの。 おねがいちたらなおったなの!」

リリーフィアは嬉しそうにその辺を走り出したが、サクラ達は驚くばかりだ。

「いったい、なにが…」

「どうなっているんだ…?」

現実を受け止めきれていないサクラとハヤテだが、アロイはものは試しにという感じで羽をパタパタと動かしてみた。

すると優しい風が巻き起こり、アロイの体はその場に浮いた。

「す、凄い… 僕飛んでるよ! また空を飛べるんだ!」

嬉しそうにリリーフィアの上をパタパタと飛び回るアロイ。


アロイは下に降りてくると、リリーフィアの手を握って満面の笑みを顔にたたえる。

「ありがとうリリーフィア。 本当にありがとう! お礼になんでもやるよ。 なにかして欲しいことはある?」

リリーフィアはきょとんとしていたが、暫くすると意味を理解したらしく、にっこりと笑ってこう言った。

「なら、しばらく家にいてほちいなの!」

意味は伝わっていなくても良い、それでも伝えたいと思ったアロイは、リリーフィアの頬を軽く撫でたあと、右手は前に左手は背中にやると、軽くお辞儀をする。

「もちろん、喜んでそうさせて貰います。 僕らの可愛いお姫様」


「そうと決まればお家に戻るよ、リリーフィア」

「そうだぞ、そろそろティファニーが帰ってくる時間だぞ」

サクラとハヤテは顔を紅くしつつもぐいぐいとリリーフィアとアロイの背中を押して前に進ませる。

「もう、なんでそんな恥ずかしい言葉が言えるのよ」

「今なにか言った?」

「なんにも言ってない!」

サクラはそう叫ぶと、ハヤテと一緒にグイグイと家の中に二人を押し込んだのだった。

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