第23話 サキュバス?

「それにしても、盗賊団ってほんと、いいわ~。体力のある男ばっかだから、搾精しがいがあるもの。それに、こうやってじっとしていても獲物を運んできてくれる。まさに、理想の生活だわ~ん」

「それでそんなに太ってるわけか。動かないで食ってばっかりいるから」


 まさにサキュバスの体形は、怠惰でリビングから動かないダメなおっさんおばさんのそれだった。

 働かずにぶくぶく肥え太って、まるでニート――前世の俺みたいなやつだな……。


「な……!? あ、あたしがデブですってえええええ!? ムキー! いくらイケメンでも許せない……! 今すぐ死になさあああい!」


 すると、サキュバスは触手を俺のほうまで飛ばしてきた。

 するどい槍のような触手は、俺を突き刺そうと追ってくる。

 だが、俺はそんなもの、軽く避ける。

 おそらく、あの触手につかまるとヤバいんだろうな……。

 盗賊団たちは触手につながれて、まるで廃人のようになっている。

 あれが、搾精ってやつか……。


「私の攻撃を避けるなんて……!!!」

「今度はこっちの番だぜ……! 火炎放射――!!!!」


 ――ゴオオオオオ!!!!


 すると、炎はサキュバスの触手に燃え移り、そのままサキュバスの肉体まで燃え広がった。

 サキュバスはでぶでぶで、その場から動くこともできないほど太っている。

 だから逃げることもできずに、そのまま火だるまになった。


「いやあああああああ! あたしの美しい顔がああああああ!!!! いやああああ燃えないでえええええ!!!!」


『どこが美しいってのよ……私のほうが百万倍美しいわよ……!』

『いや、ほんとにな……』


 マジでこの世界のサキュバスって、みんなこんなにブスなのか……?

 だとしたら、もう二度と戦いたくない。

 どこかにエロエロで美人のサキュバスもいてくれることを切に願う。

 エロエロサキュバスになら、ワンチャン搾精されたい……かも……?


「いやあああああああああ!!!! あたしの無限搾精工場があああああ! いやよ! いやああああ! せっかくここまでつくり上げたのにいいいいいい!!!!」


 サキュバスはそのまま、丸焦げになって、燃えカスになった。

 水流放射で一応、消化しておこう。

 サキュバスが消えたその後ろには、たくさんの人間の男性の白骨死体があった。

 これ……全部搾精されたやつらか……酷いな……。


 サキュバスが消えると、触手も消えて、さっきまで恍惚の表情を浮かべていた盗賊団も正気に戻ったようだ。

 盗賊団たちはそのまま、俺に襲い掛かってくるのかと思いきや……。

 みんな、涙を浮かべて、俺の前に跪いた。


「すみませんでしたああああああああ!!!!」

「ええええええ……!?!?!?」

「旦那ああああああああ!!!! マジでありがとうございます!!!! 俺たち、やっとあの悪魔から解放されましたあああああ!!!!」


 どうやら、盗賊団たちもサキュバスに催淫されるのは本意ではなかったようだ。

 みんな、サキュバスに操られて、いやいや従っていたようだ。

 まあ、元々はただの盗賊団だったから、悪いやつらっていうのには変わりないんだろうけど……。


「いや……俺は別に……ていうか、俺は盗賊団をつぶしに来たんだけど。なんで盗賊団に感謝されてるんだ……?」

「旦那……! 本当にありがとうございました! もうあんなドブスサキュバスにエロい夢を見せられるのはこりごりですよ……!」

「あーまあ……それはわかる……」

「俺たち、これに懲りて、もう心を入れ替えて、盗賊からは足をあらいます……! なので、本当にありがとうございました!」

「そっか……。それなら、よかった。まあ、くれぐれも、もう悪いことはしないように」

「はい……!」


 ということで、盗賊団は解散することになったようだ。

 これにて、一件落着……? なのか……?

 サキュバスを倒したことで、俺は暴食スキルにより、【催淫】スキルを手に入れた。

 これ……もしかしてえっちなことに悪用できるのか……?

 

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