第13話 食事
「あらためて、トウヤさん。SSSランク昇給おめでとうございます!」
そう言って、フィエルさんは俺にSSSランクのギルドカードを手渡した。
さらに、先ほどの神秘草とリヴァイアサンの買い取り金額が手渡される。
ちなみにだが、モカもDランクからAランクに昇格だ。
「おお……! ものすごい大金だ……!」
支払い書、そこには5,000,000Gと書かれていた。
俺はそれらをアイテムボックスにしまった。
すると、すぐに俺の所持金に反映される。
「それで、このあと……ご予定は?」
フィエルさんは突然、上目遣いでそんなことを聴いてくる。
前かがみになっていて、谷間が強調されていてセクシーだ。
「いえ……とくに考えてはいませんが……」
すると、ものすごい勢いで、フィエルさんは俺の手を握ってきた。
そして俺の目をあつく見つめて、こういう。
「で、でしたら……! ぜひこのあと、ご一緒にお食事でもいかがですか!?」
「え……? い、いいんですか……? ぜひ」
「わあ! やったぁ! ありがとうございます!」
フィエルさんのような綺麗な女性から食事に誘われるなんて、俺の人生で初めてのことだ。
だから、すごくうれしい……。もちろん緊張もするけど……。
俺としても、異世界にきたばっかだから、こっちでの食事とかどこの店で食えばいいのかよくわからないからな。
いろいろ教えてもらおう。
っていうか、これってデートなんだよな……?
どぎまぎしている俺を女神が茶化す。
『うわー童貞っぽい反応だなー』
『うるせえ。お前だってどうせ処女だろクソ女神』
『は!? しょ、しょしょしょしょしょしょ処女ちゃうわ! こちとら百戦錬磨だわ! 女神様何年生きてると思ってんねん!』
『百戦錬磨ってのも、それはそれでアレだな……』
『っく……はめられた……!?』
俺が脳内で女神とそんなやりとりをしていると。
さきほどまで俺の後ろでもじもじしていたモカが、急に大きな声を出した。
「あ、あの……!」
「ん? なんだ?」
「その……私も一緒にいいですか!? お食事……!」
「お、俺はもちろん構わないが……」
ふと、フィエルさんのほうを見る。
すると、フィエルさんはニヤニヤしながら。
「もちろん、私もいいですよ。ぜひ、モカさんもご一緒しましょう」
「ほ、ほんとですか!? ほんとにいいんですか!? お邪魔じゃないですか!?」
「もちろん大丈夫です。だって、そのほうがいろいろトウヤさんもうれしいでしょうし……。ね……?」
フィエルさんは俺のほうに笑顔を向けてくる。
俺はフィエルさんの言ってることがよくわからなくて、愛想笑いを返した。
それから、フィエルさんが私服に着替えるのを待って、俺たちは繁華街へと繰り出した。
「へー、結構この街は栄えてるんだなぁ」
異世界の街並みは俺の目に新鮮に映った。
いろんな店が並んでいて、とても賑やかだ。
「おっと、私たちがいくのはこういう居酒屋とかじゃないですよ」
「え……そうなんですか?」
街にはいろんな大衆居酒屋が並んでいて、どこもにぎわっている。
冒険者たちはみんな街路沿いの居酒屋に吸い込まれていっていて、あやうく俺もそれに吸い込まれそうだった。
だが、フィエルさんは足早に裏路地へと入っていく。
「この先に、店を予約してあるんです。ちょっとした高級店ですよ」
「へーって、そんな高いお店大丈夫かなぁ……。あ、いや、お会計はもちろん、俺が払いますよ!」
こういうデートの時は、男が払うべき――なんてのは時代錯誤だろうか。
だけど、異世界なんだから、時代錯誤もくそもないよな。
単純に俺はさっきのSSSランク昇格で、かなりの大金をもらったのだから、俺が払うのは当然のような気がする。
「あ、いえ。今日は私にごちそうさせてください。モカさんもトウヤさんも、クエストでお疲れでしょう? SSS級への昇格祝いということで、どうでしょう?」
「い、いいんですか……?」
「もちろんです。トウヤさんたちのおかげで、私も昇給できるそうなので。これはほんのお礼です」
「そういうことなら、お言葉に甘えます……」
そんな会話をしているうちに、俺たちは店についていた。
そこは、外観からしてわかるような高級店だった。
ドレスコードとかありそうだけど、冒険者の服で大丈夫かな……。
俺たちは、さっそく中にはいって、席に着いた。
すぐに高級な料理が運ばれてきて、わけもわからないまま、テーブルが埋まっていった。
異世界の料理だから、どれがなんの食材なのか全然わからない。
だけど味だけは絶品だった。
俺たちは会話を楽しみながら、食事を堪能した。
世界一美しいんじゃないかというほどの美人二人に囲まれて、こうやって食事をするなんて、夢のような時間だった。
お酒も入って、フィエルさんもモカも少し無防備になっていて、なんだか色っぽい。
童貞の俺には正直刺激が強すぎる。
ご飯を食べ終わって、店を出たそのときだった。
俺の右腕を、奪うように、フィエルさんが胸を押し当ててきた。
そして左手には、モカが絡みついてくる。
い、いったい二人ともどうしたっていうんだ……!?
「「トウヤさん……」」
二人とも、つやっぽい声で、両耳に息を吹きかけるようにして、ささやいてくる。
俺はドキッとなってしまう。
「このあと……まだ時間ありますよね……?」
「は、はいぃいい」
「きゅうけい、しませんか……?」
「は、はい…………ぃいいい」
俺はされるがままに頷くしかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます