第8話 湖の主!?

「きゃああああああああああああああ!!!!」

「モカ…………!?」


 モカの悲鳴をきき、俺はすぐさま駆けつける。

 だがしかし、モカは現在水浴びをしている途中だったわけで……。

 つまり、今は全裸なわけで。


「うわあああああああああああ!?!??!」


 30歳童貞引きニートだった俺にはあまりに刺激が強すぎる!?

 モカの素肌はまごうことなき国宝級の輝きであった。


「……って、そんな場合じゃねえ!」


 なんと、湖の中から巨大な魚型のモンスターが顔を出し、今しもモカに襲い掛かろうとしていた。

 俺は瞬時に鑑定スキルを起動する。



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リトルリヴァイアサン Lv7681

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「なんでこんなモンスターが湖に……!?」


 普通リヴァイアサンつったら海とかだろ!? いくらリトルとは言ってもつじつまが合わない。

 しかもここはこんなレベルのモンスターが出てくるような地域じゃないはずだ。

 これにはなにか訳ありって感じか? だけど、そんなこと関係ねえ!


「モカを襲うやつは、俺が全部倒すまでだ!!!! アイス――!!!!」


 俺はリヴァイアサンに向けて氷の刃を飛ばす。今度は手加減なしだ。

 その代わり、氷を刃状に研ぎ澄ませて、魔力を圧縮して飛ばす。


 ――キュィン!!!!


 放たれた氷の刃は見事リヴァイアサンの首元を貫いた。

 そして大動脈を貫き、大量の血が湖の透き通った水を混濁させた。


「ふぅ……なんとか間に合ったな……けがはないか?」

「はい、大丈夫です。ありがとうございます、トウヤさん。また助けてもらっちゃいましたね……」


 モカは俺に駆け寄ってきて、不安そうに身体を寄せてくる。


「も、モカ……!?」

「やっぱり、トウヤさん……強くて素敵です♡ きゅんと来ちゃいました」

「ちょ、ちょっと!? その……裸で抱き着かれると、困るというか……」


 俺が困惑してそう言うと、モカはようやく自分がなにも着ていないことに気づいたようで。

 慌てて自分の胸を腕で隠し、俺からバッと離れた。


「きゃぁ……!? ご、ごめんなさいトウヤさん! 私、モンスターが怖くてすっかり自分が服を着ていないことを忘れてました……!」

「いや……別に俺はいいんだけど……うん。たぶんもう服乾いてるころだから、風邪ひかないうちに着てくれ」


 俺は目を薄っすら隠しながら、タオルを手渡す。


「ごめんなさい。私なんかの裸、トウヤさんにはうれしくないですよね……」

「は……? いや、そんなことないが?」

「え……? だ、だって……トウヤさんから見たら私なんて……」

「いや、モカは誰よりも綺麗だと思うぞ? その……正直今も目に焼き付いて離れないくらいだ。すまん……」


 モカが何を言っているのかわからなかった。

 なんだかこの子はやたらと自己評価が低いな……。

 異世界の美醜の基準もよくわからんから、なんとも言えないけど。

 俺は素直に、自分が思ったことを言ったまでだ。


「そ、そうですか……!? ありがとうございます。その……トウヤさんになら、見られても大丈夫……かな、なんて……」

「ふぇ……!??!?!」


 モカは真っ赤な顔で俺のことを上目遣いで見つめてくる。

 そんなことを言われたら、俺のほうも理性がどうにかなりそうだった。

 俺は誤魔化すように話を変える。


「と、とにかく無事でよかった。服を着たらさっそく薬草を採って帰ろう。ここはなんだかおかしい。また危険な目に合わないとも限らない」

「そ、そうですね……そのほうがいいです。そうしましょう」


 俺たちは互いに真っ赤になりながら、顔を背け合った。

 モカが服を着る音がしゅるしゅるときこえる。


『あらぁ~? 発情してるのかにゃ? 童貞クン』

『うるせえ黙れ』

『大丈夫? おっぱい揉む?』

『それは揉む』

『うぇ……誰が揉ませるか!』

『いつか揉むからなクソ女神……!』


 女神といつものやり取りをしてるうちに、モカが着替え終わったようで。


「それじゃあ、トウヤさん。行きましょうか!」

「そうだな……っと、その前に」

「どうしたんですか……?」

「このリトルリヴァイアサンをアイテムボックスにしまっておく」


 俺は氷の刃で切断されたリヴァイアサンの頭部だけを冷凍し、アイテムボックスに仕舞い込む。

 このリヴァイアサンはさっきみたいに売却したりせず、冒険者ギルドに持ちかえることにする。

 普通はこんなところにいないような危険なモンスターだし、ギルドに引き渡して調査してもらう必要があるだろう。今回は俺たちだからよかったものの、他の冒険者が襲われていたら大変だった。


「よし、じゃあ薬草採ってさっさと帰ろう!」


 俺たちはキャンプセットを片付け、薬草を探しに向かった。

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