影の栖処

一人暮らしをはじめた姉が体調を崩したと聞き、透吾は見舞いに出向く。
だが、いざ姉の住む部屋へ行ってみるとそこには得体の知れない少年が栖み着いていた。
甲斐甲斐しく姉の世話を焼くその少年は人形のように整った顔立ちをしており、この世のものとは思えなかった。
姉と、少年と、透吾。部屋のなかは重苦しい空気に支配されて、しだいに均衡を失っていく――。