第18話 イスラエルとスパイ
「5か月ぶりの更新となってしまったわ」
長い。
と言いつつ、作者は3ヶ月くらいという意識だったらしい。
もう忘れていたんじゃないかレベルでブランクが空いてしまったな。
「と、言いつつ今回もまた番外編みたいな感じだけど」
『やる気あるのー?』
「派生事項が面白いからそっちに行ってしまって帰ってこないというようなことが連発しているわ。気づいたらシリアのアサド政権が倒れていて、中東情勢もまた変わってきているわね」
全くだ。
「そして、そこからの派生事項で『モサド最強のスパイ』という書籍を読んで、今回戻ってきたわ」
世界は繋がっているというわけか。
とにかくサボるな。
「ヨム・キプール戦争は、エジプト側がイスラエルの不意をつく形で始まったわ。ただ、これに関してエジプト側の高官にモサドのスパイがいて、その情報がなければもっと深刻になっていたかもしれない、という話もあるのよ」
モサド。
イスラエルを語る場合には避けて通れない存在だな。
スパイ小説とか、あとはゴルゴ13なんか読む際にも定番の連中だ。
「その人物……アシュラフ・マルワンという男は、少し前に出て来たナセル大統領の次女モナと結婚した人物なんだけれど、頭はいいけれど品行よろしくない人物ということでナセルからは嫌われていたらしいわ」
『おまえのような奴に娘は渡せないという奴?』
「似たようなものかもね。だから、あまりたいした立場にもつけてもらえなかったんだけれど、これを非常に恨んだようなのよ。たいした立場でないから裕福にもなれないし、ということで経済的理由と個人的理由からイスラエルのスパイになったというわ」
金が欲しい、ナセルに一泡吹かせてやりたいというわけか。
「ところがナセルはその直後に死んでしまったわ。で、マルワンは次の大統領となったサダトの側近になって、ナセル派に仕返しをしたと言われているわね。たいした地位でもなかったけれど、一応ナセルの義理の息子だからそれなりの情報にはアクセスできたわけなのよ」
『なるほど』
「で、サダトの側近に昇格したので、より良い情報を得るようになって、それをイスラエルに流し続けて、その中にヨム・キプール戦争に関するエジプト軍の動向もあったというわけ」
『それでもイスラエルは信用しなかったの? そういえば、2023年10月の時にも実は知っていた説もあったけれど』
「情報というものは色々錯綜しているから、一旦聞いているくらいのことはよくあるでしょうね。あとはそれがどれだけ信用できるかどうかということよ」
まあ、現在だとSNSでほぼあらゆる可能性が、何らかの意見としては転がっていそうだな。
「イスラエルがマルワンの情報を重視しなかったのは、エジプトの戦力がそれほど強くないと踏んでいたからよ。もう少し強化してから攻めてくるだろうと思っていて、現段階では来ないと踏んでいたわけね。バルバロッサ作戦の時のスターリンに近い状況と言えば分かりやすいかしら」
『頭がいいほど、逆に単純なことが分からなくなるわけね』
「そういうことよ」
ちなみにマルワンはその後、サダトの高官になって汚職し放題だったが、それがバレて重要なポジションからは外されてしまった。また、サダト時代にはエジプトとイスラエルは関係修復したから、マルワンのスパイとしての価値も減じたと言われる。
で、サダトが暗殺されて以降はロンドンで怪しいビジネスをやっていたが、2007年に謎の死を遂げてしまったらしい。
「この話自体も面白いけれど、より興味深いのは人間関係よね」
『……というと?』
「ナセルはマルワンが信用に値しない人間だと思って中枢に近づけなかったし、それは結果的に合っていたといえるわ。汚職し放題だったらしいし。ところが中枢から外したことでマルワンはイスラエルに接近してしまったわけで、合っていたのに失敗してしまったと言えるわけよ」
『あぁ、なるほど……』
「で、マルワンの情報を信じなかった結果、手痛い目にあったイスラエルの諜報部門責任者が後々マルワンのことを暴露したと言われるわ。諜報組織が情報源をバラすのは大変なことだけど、それ以上に自分の名誉の方が大切だったということね」
この暴露した人間は「マルワンは確かにモサドに情報をもたらしていたが、究極的にはエジプトについていたのだ」と二重スパイ説を唱えているらしいな。
まあ、二重スパイということにしなければ、自分達の情報を何も信じずにおめおめやられた無能ということになってしまうわけだが。
「結局、人間の扱い方も、情報の扱い方も難しいということよ」
「次回は二か月か三か月以内に更新したい、と作者は思っているらしいわ」
「信用できねー」
イスラエルとパレスチナ【リアル中世外伝】 川野遥 @kawanohate
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