イスラエルとパレスチナ【リアル中世外伝】

川野遥

プロローグ

 俺の名前は奥洲天成おうしゅう てんせい


 俺はトラックに撥ねられて、天界へとやってきた。

 日々、中世の要人に転生して、失敗と成功を繰り返していた日々……

 のはずだったが、急にタイトルが変わったぞ!?

 どうなっているんだ?


 というより、天界の向こうの方で、ゴジラみたいなものが暴れているぞ。


「あれは現代の女神ね」

 答えたのは、女神代行の新居千瑛にいい ちえだ。

 本来なら、中世世界に飛ばしてくれる中世管轄の女神がいるのだが、不祥事が多すぎて地位はく奪のうえで転生処分を受けている。

 ただ、女神職がいないと話にならないので有能な幽霊だった彼女が、代行という形で転生その他諸々を取り仕切っている。ぶっちゃけ女神より有能だ。


「現代の女神?」

「現代の女神が、紛争に癇癪を起して暴れているのよ」

「あれは暴れているなんてものでは済まないような……。口から熱線吐いて集落を崩壊させたぞ」

 作者の最初のイメージはゴジラだったようだが、書いているうちにサイヤ人の大猿みたいなイメージに変わってきたらしい。

「イスラエルとパレスチナの問題が難しすぎて分からなくなって、激おこになっているみたいね」

 マジかよ。


 確かにイスラエルとパレスチナの問題はやばい。


 ガザ地区を実効支配していたハマスが攻撃を仕掛けたものだから、イスラエルが激怒して反撃し、ガザで人道問題が起きているという。


 お互いの主張も行動も行き過ぎていて、収拾がつきそうにない。


 元々問題の多い中東地域の特大火薬だから、世界中が不安になるわけだ。



 それはそれとして、だから天界で女神が暴れて良いものでもないと思うが。


「このままだとこちらの方にも被害が及ぶから、イスラエルとパレスチナの問題を鳥頭の現代の女神でも分かるようにきちんと説明してあげないといけないわ」

「お、おぅ……」


「具体的には、


一、そもそも論

二、パレスチナとイスラエルの歴史を簡単におさらい

三、周辺国の問題。仮にイスラエルがなければどうなるか?

四、良くしていく方法はあるのか


このあたりを整理して説明してあげないと、永遠に暴れ続けそうね」

「確かに、このくらい説明すれば分かるかもしれないな」

「ということで、天成。よろしくね」

「えっ?! 俺がやるの?」

「私は転生業務で忙しいのよ。郁子ちゃんと頑張ってちょうだい」


 丸っと投げられてしまった。


 イスラエルとパレスチナ、どうやって説明すればいいんだ?

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