【番外編】中央アジア
「また随分と空いてしまったから、ちょっと番外編でも入れようと思うわ」
そのうち番外編しかない、なんてことになるんじゃないだろうか?
「人間というものは、どうしてもある問題をその地域だけの問題として見がちだわ。だから中東問題は中東だけの問題、という風にね。日本の地理だとパレスチナはアジアだけどエジプトはアフリカだから、その二国すら分けて考えてしまう面々もいるというわね」
エジプトをパレスチナから切り離すのはまずいだろ。
「そこで中央アジアについて考えてみたいわね。中央アジアにどれだけの国があるか知っているかしら?」
新居千瑛が現代の女神を見た。
『確か、なんちゃらスタンって国が沢山あるところよね』
ダメだ、ダメすぎる……。
「なんちゃらスタンのスタンというのは"~の国、地域"みたいな意味よ。カザフスタンならカザフ人が多いカザフの国、ならパキスタンは?」
『パキの国? パキはないだろうから、パク人の国なのね!』
いや、パク人なんていうのも聞いたことないんだが。
どうなんだ?
「パクというのは神聖を意味するのよ。神聖な国という意味らしいわ」
『ぎゃふん!』
女神のくせにひっかけ問題にひっかけられている。
「まあ、国の名前はどうでもいいとして、このあたりの地域の国境がどういう風に決められたかはご存じ?」
『知らなーい』
「……ロシアが決めたのよ。一応、責任があるとすればレーニンやスターリンになるのかしらね」
帝政ロシアがイギリスと主導権争いをして、中央アジアにどんどん進出していった。それで一応ロシア領となっていったが、当然、それぞれの地域は個々の民族やら勢力が相争っている。
帝政ロシアの時代には決め切ることができなかったが、レーニンがある程度ソ連を掌握すると、そうした地域も区分する必要がでてきた、のだが……
「もちろんレーニンやスターリンには中央アジアの諸民族の歴史も状況も分かるわけないから、適当に決めたのよ」
『適当?』
「そう。イギリスとかフランスが中東やアフリカでやっていたことを、実はソ連も中央アジアでやっていたというわけ。それが未だに尾を引きずっている部分もあるのだけど、中東と違って石油がそれほど多くないのと、そもそも中央アジアの歴史はマイナーだから誰も問題にしないのよね」
『なるほどぉ……』
「ただ、だから無視して良いというものでもないのは当然ね。ロシアに激しく抵抗していたチェチェンの面々はイスラム国(ISIS)に合流している者も多いし、中央アジアではないけど、アフガニスタンでのジハード活動に端を発していたものなのだから」
「コーカサスのあたりは特に色々あるよなぁ」
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