第11話





 「セラ、消しゴム貸して?」



 消しゴム?



 そう話しかけてくるのは、隣の席の早乙女一希さおとめかずき



 彼のことは、カズと呼んでいる。



 「今使っている」



 消しゴムくらい自分でなんとかしろ。



 そう言っているにも関わらず、カズは机に転がっているピカチュウの消しゴムを取り上げて、



 「もーらいっ」



 と無断で使い始めた。



 先生といいクラスメイトといい、無礼なやつが多すぎる。



 カズは私が王国の人間であるということを知っている数少ない人物だが、そうと知りながら、馴れ馴れしくて困っているのだ。



 彼はどうやら私と懇意になりたいようだが、生憎、身分が低い者と親しくなる気はない。



 第一に、消しゴムもまともに持っていない人間と、対等に会話する気などない。



 私のピカチュウを返してくれるか?



 耳の方から使っていたら殴るからな。



 使うんなら、足の方から使ってくれ。

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