第3話
困った父君は国中の魔法使いを集めて、娘の呪いを解く方法はないかを模索したそうだ。
そのうちの一人の魔法使いが、呪いを消すことはできないが、と前置きした上で、私が生き長らえる方法を伝えた。
…幸い、私は生き長らえたが、おかげでこの有り様である。
召使いのカエルと使用人のサリエルが、私を守護するという役目を受け、この世界に同じく送り込まれた。
教育を任されたカエルとサリエルは、初めて来たこの日本という国の生活様式や言葉を、独学で勉強しながら、長い歳月を経て私に覚えさせることに従事してきた。
そのおかげで、私は日本人としての体裁を、ひとまずは習得することができた。
身分証も、一から作成した。
外国から移住したという定義で、日本国籍も取得できた。
今は、カエルとサリエルと一緒に、月5万の借アパート住まいをしている。
『カエル』は、魔法が使える(こちらの世界で魔法を使うことは自粛しているようだが)。
そしてあらゆる言葉を理解できた。
『サリエル』はただの人間だが、
大変博識のある女性だ。
稼ぎ口はサリエルで、カエルはペット兼ボディーガード的な存在である。
2人と1匹で切磋琢磨しながら、なんとかここまでやってこれた。
そういう意味では、私が今こうして平和な生活を送れていることは、何事にも変えがたい幸福なのかもしれない。
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