第21話



 助けるって言ってもだな


 私はコイツに義理はないし、見てるだけでも気持ち悪い。


 お前だって今コイツに悪口言われたばっかじゃないか。


 「気持ち悪い」って。



 「王族の人間たるもの、弱きものを助けないでどうします?」



 都合良く王族王族って言わないでくれるか?


 私には私なりのペースってものがあってだな。



 「早くしろよ!!」



 ケンスケは人目も憚らずカズのことを怒鳴り散らかした。


 そんな急に大きな声を出すなよ。


 ビックリするだろ。



 ドカッ



 お金がないと訴えているカズめがけて、蹴りが飛ぶ。


 おーおー


 派手だねえ


 白昼堂々野外でプロレスごっこですか?


 やるならやるで、地面には気をつけたほうがいいぞ?


 怪我しても知らないからな。



 「お嬢様!」



 わかってるって…


 弱きものは助け、“悪”を挫く、だろ?


 ただの子供の喧嘩じゃないか。


 なんで私がコイツらの面倒を見なきゃならんのだ…


 のんびり抹茶を嗜もうとしている時に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る