第5話
おい、西崎!ちゃんと聞いてるのか!
私の名前は元々、
マリー・テレーズ・セラ12世妃
という長たらしいものだ。
こちらでは
「西崎セラ」
という名義に変更している。
上の空で授業を受けている私を叱りつける先生の声が聞こえた。
「聞いてます」
歴史の先生の名字は上杉であるため、クラスの連中は皆上杉先生のことを「ケンシン」と呼ぶ。
ケンシンは人一倍説教臭く、教室でも一際目立つ私のことを、ガラの悪いヤンキーだといまだに思っている。
入学して、もうすぐ半年を迎えるというのに。
「お前、いつになったら髪の色を黒に染めるんだ」
うるさいぞ、ケンシン。
私を誰だと思っている。
この髪の色は母君譲りのものだ。
私が、由緒正しきブリュッセル王国の次期王妃たる証明なのだ。
ヤンキーなどではない。むしろ、そのもっとも反対側に位置する高貴な人間であることの、証拠なのだぞ?
時代が違えば、王族への不敬罪でその首を落とすことになっていたぞ。
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