第25話


 気づいていなかったのだ。


 修行を重ねたことで、自らの魔力効率(出力量)が成長していたことに。


 公園の木を軽く揺らしてやろうと考えていた。


 それでも驚かないなら、宙に浮かすか幻覚でも見せて、強制的に謝らせる。


 なんにしても、大事にするつもりはなかった。


 軽く放ったつもりだったんだ。


 ほんの少し腹に力を入れ、肩甲骨を捻っただけ。


 まさかそれで、「海」の形が変わるとは思わなかった。




 ドォォォーーーーーーーーーーーーーォォォォォォォォ…



 ッバシャァァァァン…




 エア・シュート。



 半年前までは、せいぜい木を一本倒すくらいが関の山だった。


 木といっても大木じゃなく、そこら辺に生えてる細い街路樹程度。


 それでも人間に放ったら十分危険ということで、“出力の強さをコントロールできるように”と、サリエルにちょっとした「コツ」を教わっていた。


 木の葉を揺らす程度のものから、木の幹を粉砕できるくらいのもの、数字に表すと大体1から20くらいまでの強弱の幅が、練習のおかげで身についていた。


 「魔法」は精神力と肉体の中間にある『原子力の強さ』そのもの。


 従って、単純にエネルギー量が大きいだけでなく、ミクロ単位の繊細な部分も磨いていかなければならない。


 ——そう、教わり。


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