第18話



 カズは泣き虫だった。



 喧嘩は弱いし、虫も殺せないようなやつだ。



 見ているとイライラする。



 「男の子」ならもっとシャキッとしろよと言いたくなる。



 肌は白いし、運動不足でガリガリ。



 だからあの時、同級生にいじめられてたんでしょ?




 「こんなところにいたのか、カズ!」



 公園でカズと口論になっている最中、後ろから声が聞こえてきた。



 振り向くと3人組の男子。



 その「3人」のことを、私は知っていた。


 


 学校でも有名なジャイアンもどき、原田ケンスケと、取り巻き2人。



 クラスは違ったが、彼らの活躍はよく耳にしていた。



 3年生のくせに、最上級生の男子にまで喧嘩をふっかけるような連中だったから。



 「ケ、ケンスケくん…」



 情けない声が聞こえたと思ったら、突然ビクッとしたようにその場に立ち上がり、肩身が狭そうにもじもじし出した。



 「大丈夫か?」



 そう言いたい気もしたが、イマイチ状況が分からなかった。



 ケンスケたちはカズを探していたようだが、カズはそんな気がないようにも見えた。



 というより、ケンスケたちの登場に驚いているようだった。

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