第17話



 「気持ち悪いから近づかないで」



 まさかの発言に私は驚く。



 「気持ち悪いって…、誰が?」



 「キミに決まってるだろ!」



 その時点で私はキレそうになった。



 「常識」は弁えてるとは言え、初対面の人間に「気持ち悪い」と言われて黙っていられるほど、穏便ではなかったからだ。



 だから言い返してやった。



 そっくりそのままの声量で。



 「気持ち悪いのはお前だ!」



 「ボクは気持ち悪くなんかない…」



 「こんなところでゲームして、しかも奇声を発してるなんて、よっぽど気持ち悪いよ」



 「うるさい!」



 カズは怒ったようだった。



 しかし怒りたいのはこっちの方だった。



 だから容赦なくズカズカと近寄り、彼のテリトリーの中に入った。



 出来るだけ近い場所で反論してやりたかったのだ。



 なにか間違ってること言ってるか?



 と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る