第23話



 「…お、お嬢様?」



 どうやら、状況が変わってしまったようだな。


 話し合いで片をつけるつもりだったが、わからせてやる必要があるらしい。



 「なんだよ、話は後でするって…」




 ゴゴゴゴゴゴゴゴ




 ケンスケが何か言ってるが、関係なかった。


 怒りで頭が回っていなかったのだ。


 私は魔力を使い、“戦闘モード”に移行した。



 「お嬢様!!魔法を使ってはなりません!!!」



 カエルが何か言ってるが関係ない。


 突き飛ばされるのはまだしも、至福のひと時である「抹茶タイム」を邪魔されたのだけは、どう頑張っても抑えきれない。



 「…ちょ、何!?」



 公園の木々が風に揺れる。


 ケンスケたちの服も同様、バタバタと波打ち始めた。


 私の「魔力」は王族きってのものだ。


 そんじょそこらの魔物だか魔法使いだとかの「純度」とは比べ物にならないほどの差がある。


 魔力の展開によって風や地響きが湧き起こるのは無理もなかった。


 その気になれば、町1つ破壊することくらい…



 「お嬢様!!」


 「わかってるって」



 何も子供相手に本気を出そうってわけじゃない。


 人を傷つけることは御法度。


 それはサリエルから痛いほど言い聞かされてきた。


 それがたとえ「悪者」であろうと、例外なしだ。



 だがな…



 人ってものは、やっていいことと、やっちゃいけないことがある。


 それはカエル、お前もわかるだろう?


 それにな、ケンスケみたいなタイプは、一度思い知らせてやるくらいが丁度いいんだ。


 自分が一番強いと思ってる奴ほど、足元の現実を見た時に思い知る。


 「言葉」じゃわからないんだ。




 だから——

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