マックガフォッグ家の『商品』と『顧客』

マックガフォッグさんが扱っている商品は、

ありとあらゆる世界の、

全ての市場から

手に入れることのできた

職人技が超プロ級で洗眼で選ばれた

究極の商品ばっかりだった。


でも、

商店の顧客の大部分はこの大英帝国の中で、

ハイランク貴族に選ばれているような方々だった。


彼らの持ち物の6台、7台分の馬車が

同時に店の前まで来ていることが何回もあったほどだったからな。


マックガフォッグさんの商店は、

高級貴族の人びとの集合所のスタンダードの1つに選ばれていた。


顧客として店に足しげく来られる人のうちには、

・バーレイ家

・ウェストモアランド家

・ロウサー家

・アンカスター家

・ブラウトン家

・ノウェル家

・トロロープ家


その他名前は忘れるほど

名門貴族がずらずらとウチの顧客だった。


こうして俺は、

これらの金持ちとは何か?

ということについて、

お金持ちの人の

一挙手一投足をずっと注目して、

お金持ちの彼らが

一番油断している時にみせる

ふとした瞬間の表情を研究する時間が得られた。


俺はさらに、

極めてバラエティ豊富の製品の間で、

最も職人芸が秀でた製品にも親しんできた。


プロフェッショナルな製品というのは、

ボロの製品よりも取り扱いに

細心の注意を必要として、

傷をつけまいとする心づかいが必要だった。


これは何でも同じだ。


これらの出来事は一見するとつまらないことに見えるかもしれない。

俺の人生において、このお金持ちの研究こをが、

後の人生で、俺が大規模な製造業者になって実業家となった時、

俺にとっては大いに役立った。


お金持ち研究は、

俺自身が大いなる世界とよぶところのものとして、

やがて、

交渉を実践するためのある程度の下地を

将来の「私」に下地を作っておいてくれた。


マックガフォッグさんは、

正直をモットーにしており、

ぼったくりの値段にせず、

今風にいうとフェアトレードの商品を売ってくれるので、

金持ちの方々からだいぶ重宝されていた。


その頃の

マックガフォッグさんは、

ウィリアム・ロウサー(後の故ロンスデール伯爵)様に

取引がある地方銀行の一門で、

ウィリアム様はアウグスタ・ロウサー夫人や

その一家とともに、この店へ一番頻繁に来る常連客だった。


俺がスタンフォードを去ったあと、

マックガフォッグさんから聞いたところでは、

マックガフォッグさんはウィリアム様から

愛用犬のうちの一頭が贈呈された。


また、

商売から身を引いては、

自分でもよくウィリアム様の猟犬たちと一緒に狩りをしていた。


マックガフォッグさんは死ぬまでずっと

誰からも愛されていた。

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