毒親育ちの従兄弟は婚約と……

従兄弟リチャードは、特筆して、

近所でも優秀な立派な若者だった。


武勇においてはライオンのごとく、

どの仲間を差し置いて、活発で勇敢で、

自分の手をつけることはすべて優れ、

しかも、いつも物静かで飾らなかった。


彼のリチャードという名前を知る人、

誰も彼もから愛されることができていた。



でも、今振り返ってみると、

妙な気がする。


もし幸いにも、社会的に発展して、

優れていた社会になっていたならば、


リチャードは、この辺でもっともすぐれた第二の

「アドミラブル・クライトン」になったのになぁと。


リチャードは一人っ子だった。

だから両親に溺愛されていた。


その過剰な情愛にも毒されずに、

いつも親にはただただ従順で丁寧な息子だった。


しかし、その息子の父の『自分が正しいと思ったことを頑なに頑固に守り通す』というたった1つの大きな誤りが、この立派な人間の前途有望な未来を奪っていった。


リチャードは母方の従兄弟

(つまり僕と血縁はない)

と恋に落ちた。


その家の娘は、

地位も財産もどの観点からも釣り合う人だった。


しかも、それはそれは深い恋仲だった。 

でも、この2人のそれぞれの父は対立した。 この若きカップルに与える財産分与について意見が合わなかったのだ。


双方の父の主張をまとめよう。

リチャードの父は、その頃は2人の生活にはお金は多いぐらいでちょうどいいと考えたんだよ。リチャードの父は相手方の父も同じぐらいのお金を出せるものだと思っていた。そんなに無理をしてても出さないといけないような額ではなかったからだ。


しかしながら相手の娘の父はそのような額に同意もできないし、出したくはなかったのだ。


だからだからね、リチャードのお父さんはこの結婚に同意しなかった。 リチャードのお父さんは自分が出した条件に答えなければ、この結婚を認めることはできなかったのだ。


こんな感じで この2人の永遠なる祝福は訪れることはなかったのだ。


リチャードは両親からたくさんの愛を受けていた。だからリチャードは両親を裏切ってまで動くには 彼らを愛しすぎていたし、相手 にくよくよ 訴えようとするにはあまりにも 血の気に飢えていた。


冷ややかな風がその両家をの間を通り抜けていった。


優秀だった リチャードは誰にも理解できない悩みに苦しんだ


リチャードの心は酷くボロボロに壊れたが、そのリチャードの父を納得させるほどの考えは 思いつかなかった。


それまでは 注目の的だった その息子が豹変し始めた。次第にその息子は不真面目になっていき、やがて急死した。


リチャードは両家の父の対立の犠牲になったのだ。


子どもたちが成り立った恋を邪魔せぬようにという、1つの警告だった。


この死後、両家は疎遠になってその娘は別の親戚と結婚し、4万ポンドの遺産(21世紀初頭の日本円、1ポンド100円では約3億円)を受けとっていた。


これらを僕が知った時は、あまりに遅かったのだ。

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