第2章 店員時代

1節 マックガフォッグ丁稚奉公

マックガフォッグさんの成り上がり

俺はロンドンの兄の家から引っ越して、

スタンフォードに着いた。


そして、

話されていたことをすべて追体験をして、

マックガフォッグさんのお店に着いた。


マックガフォッグさんの家は、

すごく立派な家で

とても住心地のいい家だった。


俺にとってこれは、

実社会へ踏み出すこの上なく幸せな道筋だった。


ジェームズ・マックガフォッグさんは、

スコットランド人で、言ってることは全て正直で、

とてもいい経営者だった。


プロテスタント系新興宗教のメソジズムにドはまりしてたけど、

親切で、自由で、近所の人たちにも、常連客の人たちにも、

マックガフォッグさんは決められた締切を正しくきっちり守っていた点や、

知識がたくさんあるという点でも

商品の仕入先の人たちにも大切にされていた。


俺が一番最初に仕えた主人として、

マックガフォッグさんのような人を持ったことは幸せなことだった。


マックガフォッグさんは、俺に言ったことだが、

マックガフォッグさんは、

ハーフクラウン(約1500円)銀貨一枚だけを元手に、

スコットランドで商売を始めたようだ。


そのわずかなお金で仕入れをして、

その品をカゴに入れてより分けていた。


今で言う転売ヤーから商事成りしたような会社だった。


バスケットいっぱいになったカゴを抱えて、

それを持って行商人になった。


今で言うところの転売ヤーの荷物を運ぶ運搬人のようなものだ。

当時は物流システムが今みたいにあまり構築されてなかった。


経験をすることで知識が増え、

だんだんと商品を増やしていった。


まず、マックガフォッグさんは

貯めたお金で馬を買った。

ついては幌付きの大馬車を買った。


今で言う骨組みがある幌付きの軽トラを買うようなもんだ。


マックガフォッグさんはタイミングを見ていた。

イングランド東部のリンカンシャー州とその辺の州で、

その中でもお金持ちの家で転売をやっていったので、

最終的にその転売は、

スタンフォードの貴族や主だった家々や

大農家の人びとから、

超上品なかなりよくできた女性向け商品を売る仕事に

スタンフォードで商売替えをするように、

勧められたそうだ。


しばらくの間、転売を頑張って働いたその商品で、

お店を作って有名店になったそうだ。


俺がマックガフォッグさんの店に行ったときは、

店を開いてから何年も経っていたみたいだ。


仕入れの商品はすべてツケ払いではなくて、

一括現金払いできるようになってて、

独立したお店になりはじめた頃で、

お金もようやく貯まり始めた頃だった。


転売ヤーから成り上がったマックガフォッグさんは、

中流の相当な家の娘と結婚していた。


夫妻は浮気もすることなく

ラブラブな家庭を築いていた。


夫も妻もよく働くので、

しょっちゅう仕事に携わってバリバリ働いた。


しかも、人柄もいいし、いつも品格もいいし、

そして、小売商人としては一点の曇りもなかった。



その階級の人たちのうちでは、

とても非常に貴族的な人たちでもあったが、

そうかといってそれの陥りやすい虚栄などは張らずに、

当時彼らはスローンさんという三十五歳ぐらいで、

独身の番頭を抱えており、

また、マックガフォッグさんの甥で、

俺と同じぐらいの年頃の子どもを持っていた。






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