子どもの悩みと大人の人間性の知識

前にも言ったように、

僕は大好きだったダンスの教室に

ロンドンに行く前はずっと通っていたんだ。


僕はダンス教室に行ったことで、

子どもの生まれながらに持っている

同情心と憎悪心と嫉妬心とを初めて意識したんだよ。



僕は同級生で一番上手い踊り手だった。

そして、

その頃、第一級の女子の中で、

ダンス相手の取り合いになったんだよ。


彼女たちの中で、

ある娘は、自分の好きな相手を得られないと、

感情を抑えきれなくなって、

見るも無惨な姿に苦しんだ。



僕はながらく、

幼い子どもの心や感情は、

事前に合理的に配慮されたり、

ちゃんと叱られるということは稀なことなんだということを

考えていた。


しかも、大の大人たちが、

もし根気よく子どもたちを励まして、

子どもたちが考えたり、感じたりしたことを、

そのままありのままに言わすように導いたら、

子どもの多くは悩みから解放されるだろうし、

大人は人間性に関する多くの有益な知識・経験が得られるだろうなぁと。


僕は今になってから思う。


あのダンス教室の中には多くの悩みがあった。


もし、

ダンスのインストラクターに、

子どもたちの親の中に、

人間性についての知識がもっとあったなら、


どんなに良かっただろうと、

本当の悩みなんていうものから、

その子たちを救うことができたのにと。

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