第33話 あたしがあなたの背中を守る!
愛華との出会いを俺は舞依に語った。
「進一さんは……愛華さんのどんなところを好きになったんですか?」
「愛華はさ、話していて楽しかったんだよ。他の奴らとは違った考えを持っていて、不思議な魅力のある子だった。そんな子が俺にとても懐いてくれて、いつも俺のことを信じてくれた」
しだいに俺は愛華のことを理解していった。その魅力に気づいたのだ。
明るくて、どんなことがあっても折れない芯の強さがあって。
彼女は人の好悪が激しく、気に入らない人間にははっきりとそのことを告げたし、逆にお気に入りの人間には過剰なほど入れ込んだ。
俺はどうやら後者だったらしい。
いつも彼女から「好き好き、先輩大好き!」とアピールされた結果……。
いつのまにか、俺の方が落ちてしまっていた。つまり、そんな愛華のことを俺は好きになってしまっていたのだ。
愛華に告白した日のことはいまでも鮮明に思い出せる。
いつも「先輩大好き!」と言っている愛華が、慌てふためいて顔を真っ赤にして「本当にわたしなんかでいいの、先輩?」と問いかけた。
「愛華だからいいんだよ」
「そ、そっか……ありがと! わたしも……先輩のことを愛してる」
そうして愛華は俺にしなだれかかり、キスをした。
それから俺たちは恋人になった。葵の視線が痛かったけれど……。
そこまで聞き終わり、舞依は目を伏せる。
「面白い話じゃなかっただろ?」
「いえ……そんな大好きだった人を……」
舞依は言いづらそうに言葉を切る。
そう。俺は愛華を失った。彼女は二度と戻ってこない。
「だから、俺はふたたび仲間を失うのが怖いんだ」
そう。俺は集団で戦えない。
仲間を守れずに失うのが怖いから。だからDランクに甘んじている。
その解決策は今でも見つからない。舞依たちが死んだら……と想像してしまう。
「師匠失格だよな。俺はおまえたちに実地では大したことは教えられない。一緒に戦えないんだから」
「そ、そんなことないです! でも、もし進一さんが過去の傷を乗り越えられるとしたら……」
「そんな方法は見つからないよ」
「もし、進一さんに愛華さんと同じぐらい大事な仲間が見つかったら、どうですか?」
「え?」
「その人のために、その人を守るために進一さんは戦える。そんな気がするんです」
舞依は珍しく真面目な表情で言うと、すぐに照れたように目を伏せた。
「すみません。生意気なことを言いました」
「いや、舞依が俺のことを心配してくれているってことはわかっているさ」
舞依は……いや、実菜も玲奈も、夏菜子も上戸も智花、俺のことを心配してくれている。
だが、俺はこの迷路から抜け出せない。
「も、もし、進一さんの大事な人に……あたしがなれるなら、あたしは進一さんと一緒に戦いたいです。誰かを守るために、二人で戦いたいんです」
舞依は熱っぽい目で俺を見つめる。その若さが、純粋さが、俺は妬ましかった。
けれど、同時にもしかしたら舞依たちなら、俺を変えられるのではないかという気もした。
愛華だって、いつまでも俺が立ち止まっていることを望んではいないだろう。愛華の妹の智花も、俺と一緒に戦うことを臨んでくれている。
そうであるならば、俺は過去を克服しなければならない。
「進一さんはすごく強いんだもの。あたしだって、誰だって守れちゃいますよ。でも、それでも安心できないなら、あたしがすごく強くなります」
「え?」
「進一さんが不安にならないぐらい、強くなればいいわけでしょう? むしろあたしが全部の攻撃を防いで、進一さんを守って差し上げます。盾役ですから」
俺はふふっと笑った。
「それは頼もしいな」
「いまはまだ、あたしは実力不足ですけど……いつかは進一さんが背中を預けられるような弟子になりたいです」
「ああ、楽しみにしている」
「はい。だから、あたしのことを教え導いてくださいね?」
舞依はそう言って、微笑んだ。
新たな危機――そして、俺にとって、転換点となる出来事が起きたのはその直後だった。
<あとがき>
更新間隔が空いてすみません……!
R18版を並行してノクターンノベルズに投稿中です!
タイトル:【朗報】限界社畜な冒険者(27)、少女賢者たちの師匠となる ~うっかり無双してJKダンジョン配信者たちを助けた結果、生意気可愛い彼女たちを俺専用のエッチ大好きな性奴隷に育てることに!?~
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本作も★★★での応援、お待ちしています!
【朗報】限界社畜な冒険者(27)、少女賢者たちの師匠となってしまう ~うっかり無双して女子高生ダンジョン配信者たちを助けた結果、彼女たちを最強冒険者にプロデュースすることに!?~ 軽井広💞キミの理想のメイドになる!12\ @karuihiroshi
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