第12話 強敵
一体あれからどれくらいの時間が経ったのだろう? 洞窟の中では時間感覚など存在しないため、この生活を続けてから正確に何か月経過したのかが分からない。
「結構スキルは手に入ったな」
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種族名:異世界人
レベル:1024
スキル:ユニークスキル『鑑定lv.3』、ユニークスキル『宝玉生成』、『暗視』、『身体強化Ⅴ』、『状態異常無効』、『全属性魔法lv.1』、『闇魔法lv.5』
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自身に鑑定を用いてスキル欄を見る。今まで遭遇した魔物達は軒並み宝玉化して自身のスキルへと変化させた。正直言ってアルムの方はヘル・フェンリルの宝玉で事足りているからな。
ちなみに闇魔法は途中にあったボス部屋らしき部屋に居た骸骨の魔物を倒して手に入れた。どう使うのかは分からないが、ボス部屋の骸骨が辺りに落ちている魔物の骨から配下を作り出していたところを見るに同じようなことができるのだろうと考えている。
それにしてもこのダンジョンはどこまで続くのだろうか? かれこれ10階層くらいは登って来たとは思うんだが。
「あっ、ボス部屋だ」
目の前に聳え立つ巨大な扉を見ながらそう呟く。まだ出口じゃないのか。声にならない失望感が俺を襲う。食べ物や飲料水はダンジョン内で手に入るが、どうにも常に洞窟の中に居るというのが俺の神経をすり減らしていく。早くダンジョンから抜け出して日に当たりたい。
ため息を吐きながらもその大きな扉にありったけの力を込めて開く。どうやらある程度の力がないと開かない仕組みになっているらしく、その点も踏まえてかなりの鬼畜難易度だ。
扉を開くとその先にあったのはファンタジーでもよく見るようなドラゴン。
鑑定鑑定っと。
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種族名:クリムゾン
レベル:3000
スキル:『飛翔』、『氷獄』、『獄炎』、『身体強化Ⅴ』、『状態異常無効』、『炎無効』、『凍結無効』
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「レベル3000!?」
今までそんな高レベルの奴なんて居なかった。今まで出会った中ではヘル・フェンリルのレベルが最高でその次がボスの骸骨でレベル1232だ。それがいきなり倍の3000だと? なんでこのダンジョン、登るにつれて強くなっていくんだよ。
それに今、俺のアルムに付いているヘル・フェンリルと同じ獄炎もちゃんと持っている上に炎無効ときた。不味いな、俺の持っているスキルで通用するのが単純な剣の攻撃力と魔法だけだ。
「グオオオオオッ!!!!!」
俺の姿を見るや否やドラゴンは方向を上げて、口の中に炎を蓄え、ブレスを放ってくる。
「くそっ!」
獄炎を纏ったブレスを避け、攻撃の隙を狙う。しかし、空に飛びあがっているドラゴンに対してこちらから仕掛けようもない。まずはあいつを地面へと落とすところからだ。
「
土魔法で作り出した10本の岩の槍をドラゴンに向けて射出する。しかし、ドラゴンの飛ぶのが速すぎて中々当てることが出来ない。
こちらが攻撃を当てられないというのにドラゴンの方は逃げながらも炎と氷のブレスを織り交ぜてこちらに放ってくる。くそ、このままじゃジリ貧だ。
相手に対する攻撃の糸口を探しながら攻撃を避け続けていく。レベルが上がった恩恵で反応速度が上がったうえに体力も長続きするようになった。あと百回くらいは避けられるだろうが、それ以上はたぶん保たない。
ずっと飛び続けてるドラゴンを倒すとかどんな鬼畜ゲーだよ。絶対流行らねえぞ。
「あっ」
それは戦闘経験がないことから生まれた誤算。間合いを図りきることが出来ず俺の目の前にはダンジョンの壁がある。そしてすぐ後ろにはドラゴンのブレスが迫ってきている。もはや避けることは出来ないだろう距離だ。不味い、詰んだ。
これが氷のブレスであったならばまだ何とかなったのだろうが、飛んできているのは運の悪いことに獄炎のブレス。今のところ俺の持っている手札の中にそれを防ぎきる手段はない。
必死にアルムを振るい、ブレスを切り裂こうとするも空しく俺の身体は地獄の炎に包みこまれるのであった。
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