恋に恋する乙女たち ～恋する小学生とじゅうななさいの聖女～

第26話 百合さんとお嫁さん

ご近所のお姉さまのお宅にお邪魔しております。

幼少の頃よりお世話になったお姉さま

かねてより交際されておりました逞しい殿方とご結婚される運びとなりました。

ご結婚おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。

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旦那様の家へとお嫁入りするために隣町へとお引越し

本日は荷物整理のお手伝いにやってまいりました。

お姉さまのお引越しに合わせ実家の家電を一新するとのこと

冷蔵庫や電子レンジまでネットに接続する謎の時代

デジタル家電の設置配線をお願いされたじゅうななさいです。

今日は優秀な助手もつれてきました。

「ロボットに猫さん乗ってますよ」

そうなんですよ。

ここの猫さん　ロボット掃除機が動き出すと嬉々として上に乗るんです。

可愛いですよね。

でも掃除機と猫さんを追いかけている百合さんも可愛いですよ。

お姉さまがほっこりしながら見ていらっしゃいます。

自慢の妹です。可愛いでしょ

可愛い助手さんは狭い場所に配線を通す作業を担当です。

細くて長い手が狭い場所でも入るんですよね。

「赤い線も届きましたよ」

棚の後ろに頭から体ごと入って配線作業　大活躍ですね。

でも百合さん　作業のお手伝いにどうしてミニスカートで来るのですかっ

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整理中に出てきた可愛らしい小物を譲って頂いて喜ぶ百合さん

少しずつですが部屋の色どりが無くなってまいりました。

お姉さまがここからいなくなってしまうのだと実感してしまいますね。

おめでたいことなのですが、寂しくなります。

結婚するってこんな面もあるのですね。

「次は雪ちゃんかな」

まだ先ですよ。じゅうななさいですからね。

「雪ねえさまも結婚してどこかにお引越しするのですか。　そんなのイヤです」

身近な人が引っ越してしまうのは寂しいです。

大丈夫ですよ。残念ですがしばらく結婚の予定はありませんからね。

それに当家は女系家族です。祖父も父も婿入りですよ。

私も旦那様を迎え入れたいと願っています。

おそらく名前も変わらずにずっとここにいますよ。

それよりも百合さんが嫁入りしていったら・・・

私の可愛い妹はお嫁に行かせませんっ

百合さんのご両親が許してもお姉さんが許しませんからねっ

欲しければ私を倒してからですっ

・・・まあ　百合さんの想い人ひーくんはご近所ですから許しましょうか。

両家お母様会議の協議によれば、ひーくん婿入り決定のようですからね。

それにあまり邪魔をすると可愛い妹に嫌われてしまいます。

でもひーくん　可愛い百合さんは簡単には渡しませんからねっ

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ご結婚されるお姉さまから幸せのお裾分け

手のひらサイズの小さなブーケを頂きました。お姉さまの手作りだそうです。

百合さんの分もありますよ。

「花嫁からブーケをもらうと幸せな結婚ができるのよ」

お姉さまの言の葉を聞いて真っ赤になる百合さん

誰を思い浮かべたのですか。

問い詰めても良いですか。

事情を知っているお姉さまは優しく見つめています。

百合さんの恋心　ご近所でも知っている方は多いのです。

『花嫁のブーケを受け取った人が次に結婚する』

との言い伝えを聞いたこともございます。

婚約者（内定）のいる小学生と、彼氏のいないじゅうななさい

どちらが先に結婚できるのでしょう。

負けそうな気が猛烈にしてまいりました。

◇

世界樹広場に猫さんが顔を見せるようになりました。

真っ白で気品を感じさせるような姿です。

どこかの飼い猫かもしれません。

でもお嫁に行くお姉さまの猫さんではありませんね。

だってロボット掃除機に乗っていませんから・・・

百合さんの想い人ひーくんとゆかいなご学友さんグループに懐いたようで一緒に遊んでいる姿を見かけます。

名前も付けてもらったようで「ねこ吉」さんだそうですが

百合さんと水玉さんから物言いが付きました。

「女の子なのに可愛くない」

ねこさん女の子なのですよ。

即座に命名会議が開催されました。

なぜか我が家の庭で・・・　

猫さんが庭に入ってきて動かないのですよ。

そこで猫さんを囲んでの命名会議です。

「まっしろだから雪ちゃん」

水玉さんそれはやめてください。

「それなら雪ねえさま」

もっと駄目ですよ。

「ねこ助」

女の子ですよ.

「ネコキング」

何者ですか　女の子ですっ

「もっと可愛くてスタイリッシュな名前がいいのっ」

百合さんが主張しますが良い案もなく散会となりました。

本日の案の中では

『プリンセス　ネコ』

が優勝だと思うのですよ。お姉さんとしましては・・・　ぷぷっ

◇

後日、彼が命名したとのことで聞いてみますと

『スタイリッシュ』との名前だそうでして・・・

彼の中で百合さんの発言力が大きいとみるべきでしょうか。

それとも感性が壊滅的なのでしょうか。

成り行きを一緒に見守っていた我が母もスタイリッシュな名前を聞いてプルプルしておりました。

彼の渾身の命名は百合さんによって即時却下され

結局『おもち』ちゃんとなりました。

可愛らしい名前を頂きましたね。

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幸せのお裾分け　小さなブーケを手にしたお嫁さん（予定）

すでに旦那様は頭が上がらないようです。

恋する乙女は強いのです。