第18話 百合さんと乙女の名前


『名は体を表す』と申します。


私の名前は『音無 雪』 非常に気に入っております。



「真っ白な雪は好きになった殿方に染められる純粋な白なんですよ」



私は殿方に尽くす女です。花嫁修業は各種きっちりと修めております。


じゅんしんむくなじゅうななさい お買い得ですよ。




「どんな世界でも一晩で真っ白に埋め尽くしてしまうんですよね。

 しかも音も無く静かにですよ。雪って怖いですよね」



アリスさん 後ほど生徒指導室まで来てください。お話したいことがございます。





先輩を悪意なく酷評するのは通常運転 


なぜか天然毒舌さえも魅力に感じてしまうのは後輩のアリスさん



よく言われる不思議ちゃんでございまして『不思議のアリスさん』です。


『国の』が抜けていますが問題ありません。



二つ名『無敵のアリスちゃん』として各方面に名を轟かせております。



言い伝えられる数々の武勇伝


どの武勇伝も締めくくりの言の葉は『まぁ アリスちゃんだからね』



みんなに愛される特別なスキルをお持ちのようです。






二つ名と言えば親友の『爆乳姫子さん』です。


これは・・・ 二つ名ではないですね。



でも名は体を表す・・・  体から名が出来ていますね。


こちらは事例としては使えないようです。


でも素晴らしい女性であることは確かです。



彼女も数々の武勇伝がございます。


また語ることがございましょう。





そして恋する小学生『百合さん』ですが・・・


まさに百合さんです。実は名字まで含めてすばらしい名前なのです。



白百合のごとく清楚系美少女として清く正しく育っております。


純真無垢の清楚系美少女なんて見ているだけで幸せになれます。


お姉さんとしましても鼻が高いのですよ。



命名されたのはお母様とお聞きしております。グッジョブでございます。




ちなみに水玉さんとわちゃわちゃとしておりますが百合ではないですよ。


ふたりを見ていると尊いですが、男子に恋していますからね。





なかなか二つ名が付く方はいらっしゃらないと思いますが、ラノベやアニメの世界ではよく見られます。


百合さんの想い人さんとゆかいな男子の仲間達さん


二つ名を付けることが流行中



「地獄の業火」


「暗黒の騎士」


「疾風の風」



 疾風の風・・・ 本人様がご満足のようですので意見するのは愚行でございましょう。



それにこのノリはお姉さんも嫌いではないですよ。


でもいつ使うのですか この二つ名は・・・



君たちがかっこ良いと思われたい女子の面々


かなり冷めた目でご覧になっておりますよ。


じゅうななさいのお姉さんには好評ですが、同年代の女子には受けないようです。


残念ではございますが、ご再考願います。





二つ名はなくともあだ名で呼ばれることは一般的です。


私の場合「おゆき」「お嬢」


なぜ『お』が付くのでしょうか。謎です。



そんなあだ名の中でも百合さんとご学友さんが呼んでくれる『雪ねえさま』が優勝です。


美少女が呼んでくれるのです。気に入りますよ。



百合さんの想い人さんを含め男子な方々まで『雪ねえさま』と呼んでくれるのはちょっとむず痒いところもございます。


女子中学生にまで呼ばれているところからすると、すでに固有名詞になっていると感じます。



呼び捨てで「雪」と呼ぶのは父だけで、ご近所さんのほとんどは「雪ちゃん」


じゅうななさいになっても子ども扱いです。



残念ながら小学生以外の殿方からは「音無さん」だけでございます。


名前を呼び捨てにしてくれる殿方 恋に恋する乙女としましては夢ですね。

想いを寄せる殿方からは「雪」なんて呼び捨てにしていただいて、

私からは「さん」をつけてお呼びしたいです。


名前を呼び合うだけでお互いにほほを染めて俯いてしまうのです。

結婚後、子供が出来ても名前でお呼びしたいです。憧れるのですよ。

(参考文献:私の両親)



貴重なんですよ。

想いを寄せる殿方に名前を呼び捨てにしてもらえることは幸せなんですよ。


わかってますか 百合さん





「百合はかわいくないよなぁ」  


「ひーくんこそかっこよくないしっ」



当人はまったく意識せずに呼ぶのです。


百合さんに「ちゃん」を付けないのあなただけですよ。



ご学友の集団の中で言い合いをするふたり



「百合なんて嫌いだから関係ないけどっ」  


「私だって好きじゃないからねっ」



私の姿を見つけて駆け寄ってくる百合さんとご学友の水玉さん



「雪ねえさま ひどいこと言われたぁ」


私の存在にちょっとうろたえる彼



「今日はうそ言ってもいい日だからなっ」



あら 嘘だったのですね。



「そんなことしってるっ」



百合さんもわかっているではありませんか。


走り去って行くひーくんとゆかいな仲間達さん



せっかく来てくれましたし百合さんとお話をしたい気分です。


お部屋にお茶の用意をしましょう。



――――



お茶を一口 少しは落ち着いたでしょうか。


さあどんな嘘を言われたのでしょう。お姉さんに聞かせてくださいな。



「かわいくないって・・・」



口にした瞬間、真っ赤に染まる百合さんと水玉さん


気が付いてしまいましたね。



「好きじゃない」って嘘を叫んでいた可愛い女の子もいましたよ。



義理チョコ騒動で向き合うと思っていましたが、ふたりとも素直ではありませんね。


さてお茶菓子はまだまだございます。ゆっくりお話を聞かせて頂きましょうか。



今年の四月は甘い嘘から始まりました。

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