第21話 百合さんと賢者さま
「ところで水玉ちゃん 好きな人はいるのかな」
突然話題とスマホカメラを水玉さんに向けるエンジェル先輩
先ほどまで饒舌に百合さん(のお友達)の恋を語っていましたが・・・
「好きってほどの男子は・・・」
「いるのね♪」
エンジェル先輩の切り込みは鋭いのですよ。
「どんな子? イケメン? 頭のいい子? スポーツ万能?」
「頭がすごく良いと思います・・・」
「学級委員長ね♪」
「・・・はい」
先輩、仕事が早すぎます。そして当たっているんですか・・・
異能者ですね。 何か特殊スキルをお持ちのようです。
賢者さまとお呼びすればよろしいでしょうか。
先ほどまで真っ赤なお顔だった百合さんがキラキラしています。
水玉さんの想い人知らなかったんですね。
エンジェル先輩の追求によりバレちゃいました♪
「そうだったんだぁ」
百合さんの生暖かな視線にもじもじしております。
私も気が付きませんでした。百合さんの恋が眩しすぎました。
目の前に咲くこんなに可愛い恋を見落とすなんてっ
聖女として失格です。(あなた何者っ)
「でもあまりお話しできないから・・・」
絶賛片思い中のようです。
水玉さんは美化委員さん 委員会でのつながりもありません。
席も離れていて話しかける機会は少ない模様
さらに百合さんから悲しい情報
「学級委員長くんって副委員長ちゃんと良くお話してるよね」
恋のライバルは副委員長さん これは強敵の香りがします。
「これは燃える展開ね」
エンジェル先輩 不利な立場からの逆転恋バナ好きですよね。
乙女の作戦会議の結果 百合さんが一肌脱ぐことになりました。
お姉さんも協力しますからね。
『まずはお友達作戦』です。まぁ順当ですが・・・
百合さん学校での発言力は意外と大きいのです。
手始めに図書館に来てもらえるように策略を練っております。
恋する乙女は自分以外の恋には積極的だと身に染みた夜でした。
◇
「雪ねえさまに婚約者がいるってお母さんから聞きました」
百合さんが興奮気味に反撃に出ました。
私に婚約者がいるようです。嬉しいですね。でも婚約者って誰なのでしょう。
「うで組んでお買い物しているのをお母さんが見たの」
百合さんのお母さまが目撃者でしたか。
でもそれは婚約者ではなく恋人ではないでしょうか。
「背が高くてイケメンだったって」
お相手も特定されているようです。
「雪ねえさまはオシャレな青いワンピースだったからデートに間違いないって」
青のワンピースで腕を組んでいたのは・・・ あの時ですね。
これは見られてしまいましたね。私にも春が来たようです。今日はお祝いです。
「雪ねえさまの婚約者って誰ですか。 教えてください」
「知りたいです。です」
水玉さんまでぐいぐい来ますね。
恋バナで問い詰められる側って恥ずかしいですが嬉しくなってしまいます。
これは幸せですね。もうちょっと焦らして幸せに浸っていましょうか。
「あっ それたぶん私」
エンジェル先輩が手を挙げてしまいました。
たしかにあの日、腕を組んでお買い物していました。
すらりと脚が長く中性的な雰囲気があるエンジェル先輩
服装によっては殿方に見えてしまうのです。宝塚系ですからね。
間違われたのはこれで三度目です。
でも先輩 空気読んでくださいよ。
もう少し幸せな優越感に浸っていたかったです。
◇
「お姉さんの婚約者はどんな人ですか」
そうなんです。エンジェル先輩には彼氏がいらっしゃいます。
婚約者ではないと思うのですが・・・
「私の婚約者は優しい人だよ」 訂正なしですか先輩っ
一つ年上の優しい彼氏さん
告白は商店街のアーケードを並んで歩きながら
「エンジェルさんお付き合いしてもらえませんか」
だったそうです。
前を向いたまま「いいよ」と手を握ってお付き合いが始まりました。
なんだか先輩らしいです。
大人の恋愛って雰囲気で素敵です。
そして商店街でころっけを買って一緒に食べたのが想い出だそうで・・・
もう少し手前にくれーぷ屋さんがあったはずですが・・・
大人の恋愛は私の妄想する物語とちょっと違いますね。
でも恋が実を結ぶ瞬間のお話 それも本人から聞けるなんて感激です。
水玉さんも夢見る顔をしています。そうですよね。夢見ますよね。
自分の恋が実る瞬間 どんな場面何でしょうか。
「一緒にころっけ食べるとお付き合いできるよ」
エンジェル先輩 説得力抜群のデマを流さないでください。
「ころっけ・・・」
百合さん 本気にしないでください。
翌日みんなでころっけを買いに行ったのは別のお話・・・
エンジェル先輩のジンクスを信じたわけではないですよ。
みなさん 急にころっけが食べたくなったのです。
◇
夜も更けて百合さんと水玉さんは眠ってしまいました。
無防備な寝顔が可愛いです。でへへ
お泊り会 楽しかったでしょうか。
思い出に残るような夜になったでしょうか。
美少女の寝顔鑑賞会をしておりますと
背後からつぶやくようにお説教が聞こえて参ります。
「小学生が積極的に恋しているのにお嬢は何してるの」
痛いです。 痛いです。 耳と心が痛いです。
「お嬢なら親の決めた許嫁くらい居そうだけど・・・」
どこのラノベですか。
「大人しくしていればモテるのに」
そうです。私はモテるのです。小学生男子にはモテているようです。
「すぐ燥ぐからポンコツがバレるんだよ」
ポンコツ言わないでください。
「ポンコツでも可愛いから大丈夫ですぅ ・・・なんちゃって♪」
「アリスちゃんの真似しても可愛くないから、あざといだけだから」
先輩 手厳しいです。
それではどうすれば良いのでしょうか。
「セーラー服着て 食パンくわえたまま走ってみたら良い出会いがあるよ」
私、遊ばれていますよね。
今夜もエンジェル賢者さまには勝てそうにありません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます