第22話 百合さんと召喚魔法


恋愛成就のおまじないは古今東西色々とございます。



乙女としましては必須科目と言っても良いでしょう。


かならずテストに出ますからねっ



そんな中、降ってわいたお守り騒ぎ


百合さんが大切にしているアミュレットです。



『お守り』ではなく『アミュレット』



そんなことを強調しながら大切にしている百合さんの姿を見れば気になりますよね。



そしていつの間にか素敵なハンカチを手に幸せそうな百合さん



周りの乙女が黙ってはいませんよ。


あの恋愛劇を成功に導いたのはこの『アミュレット』だと話題沸騰です。




「別に好きなわけじゃないし付き合ってもいませんっ」



と主張する乙女が若干一名いらっしゃるようですが聞き流されております。

みなさん小学生ながら大人の対応でございます。




「神社に行けばあるのかな」


「神社はお守りでしょ アミュレットだよ」



「商店街で売っているかな。 あの端にあるお店」


「きっと売っているのもないしょだよね」



「図書室の本にアミュレットの作り方あるかな」


「そういえば百合ちゃん 図書委員さんだよね。図書室の本かも」



「百合ちゃんのアミュレットって良い香りがする」


「これって・・・ 世界樹の雪ねえさまの香りだと思う」


「雪ねえさま・・・ 百合ちゃん教えてくれないし・・・ 

 水玉ちゃんなら何か知ってるでしょ」



「私もアミュレットのこと知らないよぉ 私も欲しいよ」


「雪ねえさまに聞きに行けば教えてくれるかな」


「世界樹広場に行くとお話してくれる時があるよ」





図書室にはアミュレットの本を探しに来るご学友さんが多数いらっしゃいまして、

司書さんが困惑して連絡をしてくれました。



「あのアミュレットって雪ちゃんが作ったんでしょ」


司書さんは私が作ったこと特定されているのですね。


問い合わせにきた女の子から情報を収集して、香りから私を特定できたと・・・

みなさん香りには敏感なのですね。女性特有なのでしょうか。


もしかしてアミュレットに興味がございますか。



「それでね 私の分もアミュレット作ってほしいなぁ 

 なんて思っているんだけど・・・ お願いできるかしら・・・」


あら 司書さんも意中の方がいらっしゃるのですね。



「いえ 特定の人がいるわけではないの その・・・

 持っているといいことあるかな・・・なんて・・・ 駄目ですか」


何やらごまかしましたね。聖女の恋愛探知に何かが反応しました。


日頃お世話になっていますからね。お礼に作らせていただきますよ。

(聖女の術は発動させませんけど・・・)


それでは出来上がりましたら図書室までお伺いいたしますね。


その時に詳しくOHANASHI致しましょう。



「はは・・・ 雪ちゃん 内緒にしてよ お願いね」


楽しみが増えてしまいました。





「雪ねえさま 聖女の術が知られてしまいそうです。どうしよう」



助けを求めてやってきた百合さん 焦った顔して顛末を語ってくれました。



百合さんの周りの出来事は司書さんや水玉さんからも聞いていますよ。

ヒロインになってしまいましたね。



「義理チョコあげてお返しもらっただけなのに・・・ねぇ」



百合さん それはお姉さん(じゅうななさい彼氏無し)への挑戦状ですか。


婚約者(内定)の余裕ですかっ




「聖女さまだって知られたら神様に怒られますよね」



私、神様に怒られるのですか。それは困ります。でも聖女さまではありませんよ。


バレたら痛いお姉さんだと噂されて恥ずかしくなるだけです。




「『聖なる水』のこともないしょのひみつにしてあります」



百合さん守秘義務は貫くようです。偉いですよ。

でも聖なる水ではなくてオイルですね。


「ないしょだけど水玉ちゃんには作ってあげたいな」



水玉ちゃんの苦しい片思いを知っていますからね。優しい子です。



先日水玉さんにも聖なる水(と言うヘアオイル)は差し上げたのですよ。

水玉さんも百合さんが聖なる水(説明略)を使ったこと知っているでしょ。



「だから水玉ちゃんすごく可愛くなったのですね」



百合さんから見ても水玉さん変わったようです。


教えてあげた「綺麗になる術」きちんと実行しているようですね。




想い人のためにする努力

こちらを向いてもらうために綺麗になろうとする努力

その行為のすべてが乙女に恋心を強く意識させるのです。

だから自然に可愛くなるのが恋する乙女なんですよ。


     (音無著『じゅうななさいの恋愛論』第二章より抜粋)


――――



「あとはアミュレットですね・・・」



作ってあげたいのですが説明が難しいです。いろいろとね。


またやらなければいけないのですか・・・ あれを・・・



水玉さんは聖女の存在を知りませんよ。


水玉さんきっと引きます。百合さんのようにノリノリではないと思いますよ。



それにクラスで話題になっているのでしょ


ご学友さんたちが来たらどうしましょうか。



「『聖女の術』はないしょのひみつですからねぇ・・・」



そうですよ。簡単には発動できないのですよ。お姉さんの何かが削られるのです。


ご学友さんたちの前で『聖女の術』・・・


想像したくないですね。







そうです。



アミュレットへの「聖女の術」発動以外にに良い方法を思いつきましたよ。




「恋愛に詳しい魔女さんにお願いしましょうか」


「魔女さんがいるのですか」


「『恋愛の魔女』と言われる素敵な魔女さんがいますよ」


「私も会いたいです」




大丈夫ですよ。世界樹の聖女は魔女さんを呼べますからね。


召喚魔法を使いましょう。




『恋愛の魔女』召喚っ


――――


「もしもし音無ですけど・・・ 聖女関係で困ってしまいました。

 相談に乗ってください。報酬は手作りケーキで」


「明日行くからケーキよろしく」


――――



手作りケーキを代償に召喚魔法成功です。


魔女さんが明日来てくれますよ。



「魔女さんにも会えますっ」


百合さん喜びすぎですよ。



あとはケーキの用意をするだけです。ロールケーキならすぐに出来ます。


恋愛の魔女さんの大好物ですからね。



さて恋愛の魔女さんにも活躍してもらいますよ。


一蓮托生です。異世界の果てまで付き合っていただきます。


(聖女の悪い笑顔)

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