第16話 恋する街角【幼馴染み】
ここは『じゅうななさい』の私が所属する謎のチームがある建物の一角
『無敵のアリスさん』が仕切る乙女の園でございます。
いつの間にかついた名前が『アリスcafe』
喫茶店として営業しているのではありませんよ。
チームメイトが集まって交流する場となっております。
各自好きなものを持ち込みをしておりまして優雅に過ごしております。
私は主に日本茶関連を持ち込ませていただいております。
日本茶を入れるのは私の役目
茶葉の種類は常に10種以上、抹茶、煎茶ならちょっと自信あります。
茶香炉なども持ち込みまして、香炉専用茶葉なども用意いたしております。
メンバーの持ち寄りによって、紅茶、ハーブティなども充実しており普通の喫茶店には負けませんよ。
一日中ここにいることもよくあるお話
煮詰まってしまった時には最適の場所です。
◇
本日脚を運んだところ、先客がいらっしゃいました。
すでに盛り上がっていますね。
主役は後輩の舞奈さん
愚痴大会のようでございます。
私も聞き役に入りましょうか。
――――
「お雪先輩 聞いてくださいよ」
話したくてウズウズしているようです。
ウズウズと言いますか・・・かなり興奮されていますね。
何があったのですか。
「私の幼馴染みくん知ってますよね」
はい 良く存じております。
「先週の日曜日にデートしていたんですよ」
誰とですか 舞奈さんとでは無さそうです。
ちょっと意外です。
・・・舞奈さん 荒れてますよね。
実際に見たのですか。
噂だけかも知れませんよ。
「私が見たから間違いないです」
確定のようです。
「偶然見かけて後ろから脅かそうと思って近寄ったら彼女が一緒に・・・」
道理でアリスcafeの雰囲気がいつもと違っていたのですね。
かなり重い雰囲気です。
「まあまあ可愛い子だったから・・・」
かなり可愛かったのですね。
「あいつとは昔から知っているってだけだったから・・・」
「そのうち彼女でも作るとは思っていたけどね。 びっくりしただけ」
「あいつ誰にでも優しいから騙されるんだよ。
きっと彼女も騙されているんだよ。 彼女は被害者ですよ」
「でも綺麗な人だったから・・・ 仕方ないかな・・・」
永遠と愚痴が続いてこちらは相槌を打つばかり
「幼馴染みのままで良かった」
「好きになってたらショック大きかっただろうなぁ」
「腐れ縁で距離が近かっただけ」
少し呆れるような素振りで軽い言の葉が流れて行きます。
「私も彼氏つくろうかなぁ」
「彼氏が出来たらあいつ驚くかなぁ」
どんな言の葉を選べば良いのでしょうか。
舞奈さんの笑顔を見ているだけでつらいです。
ずっと黙って聞いていた爆乳姫子さん 初めて口を開きます。
「舞奈」
名前を呼ばれて、姫子さんを見る舞奈さん
突然訪れた沈黙
じっと目を見つめる姫子さん
「・・・泣け」
急に表情を崩して涙が溢れる舞奈さん
そして慟哭・・・
「おいで」
舞奈さんを抱きしめて ゆっくりと髪を撫でています。
そうですよね。幼馴染みくんのこと好きでしたよね。大好きだったのですよね。
私たちも舞奈さんがお付き合いするのは幼馴染みくんだと当たり前のように思っていましたから・・・
嗚咽の響く中 只々見守るだけしか出来ませんでした。
――――
半時を過ぎた頃
腫れた目をしながらもちょっとだけ笑ってくれた舞奈さん
「ありがとう」と感謝の言の葉を残して帰って行きました。
強いです。あなたは強いですよ。
だから今だけは思い切り泣いて、悔しがっても良いと思います。
そして慰めの言の葉よりも共感という名の抱擁で受け止める爆乳姫子さん
私の親友はあたたかな人なんですよ。
包容力があって、お胸が大きくて、背も高くて、お胸の張りも良くて、運動神経も抜群で、お胸の揉みごたえもあって、頭も良くて、お胸差別もしなくて、優しい美人さんなんです。
あのお胸で泣いた女性は他にも・・・ 自慢の親友です。
思い切り泣いて、自分の気持ちに向き合って少し落ち着いたかもしれません。
それでも『失恋』の言の葉は乙女にとっては残酷で胸の深くまで突き刺さります。
相手を想う気持ちが深ければ深いほど心の傷は深くなるのは仕方ないこと
全ての恋が成就するわけないとわかっています。
理性ではわかっていても感情が付いてきません。
◇
舞奈さんの涙を見てしまった私たち
彼女は愚痴を口にしながらも本当は自分に言い聞かせていたのですよね。
『あきらめなさい』
『現状のまま動かなかった自分が悪い』
『本当に好きなら幸せを願ってあげなさい』
繰り返し自分に言い聞かせていたのだと思うと胸が締め付けられます。
『幼馴染みは負けヒロイン』
そんな言の葉が頭を過ぎります。
理不尽ではございますが、幼馴染みくんに対して怒りが込み上げて参りました。
あんなに一緒にいたのではないですか。
舞奈さんにもらった誕生日プレゼント 自慢そうに見せてくれたではないですか。
いつも優しい目をして舞奈さんを見つめていたのはどうしてですか。
舞奈さんがあんなに華やかな甘い笑顔を見せるのはあなただけなのですよ。
舞奈さんが殿方から告白を受けていたことご存じですか。
どうして断ったのか理由を知っているのですか。
舞奈さんの想いを勘違いだとおっしゃるのであれば、恋に恋する乙女としてぶっ殺して差し上げますわ。
まずは事情徴収・・・いえ OHANASHIをする必要がございますね。
すぐに身柄を確保致しましょう。
恋に恋する乙女が怒ると怖いのですよ。
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