第11話 恋する街角【偶然を許さない乙女】

『偶然』にも先輩と遭遇して、せっかくだからとお食事(デート)をする制服女子高生さん


彼女が台本を書いた恋愛劇場

特等席で見せつけられた私たち


姫子さんとふたりで萌え死ぬところでした。


甘酸っぱいなぁ 頑張っているなぁ

なんて新鮮な恋バナを堪能していると・・・



少し離れたところに制服女子高生さんがもうひとり


先ほどのふたりを目撃して呆然と立ち尽くしていました。



その表情からなんとなく状況が見えてきて居た堪れない気分

姫子さんと目だけで会話してしまいます。

やはり同じことを感じたようですね。



『羨ましい』『悔しい』『認めない』 ねぇどれ?





――――――――――


憧れの先輩くんが同じ部活動の後輩ちゃんと仲良く食事しています。

しかもその後輩ちゃんと私はお友達 とろけそうな笑顔から彼女の想いを察します。

偶然を装って駆け寄っていった後輩ちゃんの恋愛劇場

完璧な演出でした。


でもこの恋 負けられないっ『偶然』なんて許さないからっ


(恋に恋するじゅうななさいの聖女 特殊スキル『恋愛妄想アフレコ』)


――――――――――





心配する私たちとは関係なく静かに再起動する彼女


ゆっくりと注文カウンターに向かいポテトを一つ


トレーを受けった彼女は先ほどのふたりのもとへ向かいます。



「あれっ 先輩 また寄り道ですか」



同じく『偶然』を装いながらも『また』の一言でちょっぴり距離の近さを強調していますね。

お見事でございます。



彼女を笑顔で迎える先輩くんと困惑気味の制服女子高生さん


迷うことなく先輩の『隣の席』へ腰を下ろす彼女


これは宣戦布告でしょうか 



何か言いたげな制服女子高生さんに向かって


「あ~ん」


とポテトを差し出・・・正面から口に押し込みましたね。

有無を言わせないこの攻撃


ポテトを口に目を白黒させるその隙に



「はい 先輩もあ~ん」


押されるままに口を開けてしまう先輩くん


ポテトを入れる指が唇に触れてます。これは意図的ですね。



動きが止まったふたりの目の前で今度は自分の口に


「あ~ん」


ポテトを食べながら指をひと舐め


この子 強いじゃないですか

先輩くん 真っ赤ですよ。




「今度は私からもっ あ~ん」


あら 最初の偶然女子高生さん 受けて立つようです。


同じようにふたりの口に入れた後、自分の口にもポテト


にっこりと笑うその視線はあとから来た女の子へ


恋する乙女は強いようです。




一触即発と緊張しておりましたら意外にもその後は和気あいあい

笑いながら会話が弾んでおりました。



精一杯の背伸びをした恋心

青いですね。眩しいですね。



頑張れ恋する乙女たち


そしてがんばれ先輩くん

ハーレムはだめですからね。許されるのはラノベだけですよ。




「乱入してこようかしら」


腰を浮かす爆乳姫子さん

やめなさい あなたが入るとアダルトな展開になってしまいます。


大人しくポテト食べていてください。


「はい あ~ん」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る