第37話 百合さんと世界樹の加護



百合さんのお母さまから連絡を頂きました。


『百合が浮かれてうるさいです』


それだけ分かれば充分でございます。


ひーくん ぐっじょぶでございます。

やれば出来るではありませんか



時間が決められず調整に難航しているようですが・・・


それでは簡単な昼食を用意しますのでご一緒しませんか。


お昼前、そうですね。11時頃に致しましょう。


お待ちしております。


ひーくんのお母さまには百合さんのお母さまが根回しして頂けるとのこと

根回し大事ですからね。





エンジェル先輩 緊急要請でございます。


百合さんが困っています。


実は・・・



「明日のお昼ね。用意があるでしょ。朝から行くから」



すべてを話さずとも察していただけるエンジェル先輩

数分で完了してしまいました。


百合さんに加えてふたりの可愛い女の子

しかもあのひーくんも同席ですよ。



エンジェル先輩が動かないわけがありません。


いつもの事ながら行動力に頭が下がります。





ようこそ お待ちしていましたよ。




律儀に百合さんの家までお迎えに行ったそうですね。

両家のお母さまから連絡を頂いておりますよ。


きちんとエスコートできています。



百合さんも可愛らしいワンピース似合っていますよ。

髪から良い香りもします。きちんとお手入れしましたね。


後輩のためとの理由はありますが、ひーくんからのお誘いなのです。

乙女としては浮足立ちますよね。



ひーくんの周りに美少女三人 両手に華どころではございません。




「きみが噂の『ひーくん』だね。待ってたよ」



初対面の美人さんに「噂の」なんて言われて赤くなるひーくん


エンジェル先輩のコミュニケーション能力に任せれば間違いはないでしょう。



――――


みどりさんはひーくんにずっと寄り添ったままですが、百合さん 嫉妬しませんね。


後輩想いのお姉さんになりました。


それともエスコートされたことで余裕が出来たのでしょうか。

かなりの上機嫌に見えますよ。



「ここが雪ねえさまの図書室だよ」


図書室ではありませんが・・・ 百合さんにとっては図書室かも知れませんね。

書棚が部屋の半分を占める私のリビング 読書部屋と言ったところでしょうか。


書棚部分は日光が当たらないようにしきりで塞いでおりますが、

リビング部分の窓からは世界樹がよく見えます。


しおりさん書棚に興味津々 


「みどりちゃんも本を見に行こうよ」


手を繋いで書棚へ向かうエンジェル先輩

みどりさんも抵抗なく手を引かれています。

賢者さまの謎能力恐るべし


「聖女さまの本ならこのあたりにあるからね」


何か作為的な物を感じますよ。エンジェル先輩


そして様子を嬉しそうに見守る百合さんとひーくん

何ですかこの子供たちを見守る夫婦の佇まい


あえて触れずに私は昼食の用意です。



サンドウィッチを用意致しました。

生クリームたっぷりのフルーツサンドもありますよ。


お茶も入りました。そろそろ始めましょうか



『お友達会』の開催です。



――――


「どんな本が好きなのかな」


この顔ぶれならば本の話題からですよね。

ひーくん 図書委員さんですよね。付いてきてくださいよ。


みどりさんは妖精さんのお話が大好きで何度も読み返しているそうです。

入院や自宅静養が多いので本を読む時間は沢山あると言いながらちょっと寂しそう

物語の中で心を遊ばせて希望を見いだしていたのですね。


お姉さんも同じでしたよ。

今は読書を通じてお話しできる人たちが沢山います。幸せですよ。


「本の中なら大冒険できるからね。お姉さんも本の中で大冒険しているよ」


エンジェル先輩も読書家ですからね。



「私は聖女さまの物語が大好きだよ。『聖女の術』でみんなを助けるの」


ちらちらとこちらに視線を送る百合さん

意味ありげな行動やめてくださいな。エンジェル先輩が笑っていますよ。



「本の話が出来るって嬉しい」「私もとっても楽しいよ」


趣味の話が出来る友人がいることは幸せですね。

今日から本の話が出来るお友達ですよ。


「図書室に来ればおれも百合もいるからな」


頼もしいではないですか。

しかも百合さんとアイコンタクト 

わかってるって返事をするように頷く百合さん


なんですかこのふたりはっ いつの間にか心通わせていますね。



「本が好きな男子も意外と居るんだぞ。友達になってやれよ」


あら 読書男子さんとの繋がりまで出来そうです。

夢は広がりますね。


「ひーくん 噂通りのいい男だね」


百合さんの耳元で囁くエンジェル先輩

照れながらも小さく頷く百合さん


最近想いを隠さなくなってきましたね。



――――



世界樹の栞 みどりさんにも贈らせて頂きますよ。

私とお友達になった証です。


もちろんひーくんにも差し上げますよ。


「世界樹にお祈りしないと・・・」


しおりさん覚えていたのですね。

みんなでお祈りしましょうか


「世界樹の加護がありますように」



――――



「百合ちゃんもひーくんも良い子だね」


皆さんが帰った後のリビング

エンジェル先輩も感心していました。


私たちは繋がりを手助けしただけ

あとは見守って行きましょう。


世界樹も助けてくれるでしょう。



物語が繋ぐ 不思議なご縁



このお話を読んで頂いたあなたともご縁がありましたね。


あなたにも世界樹の加護がありますように


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