第51話 恋する街角【遠距離恋愛】



恋仲となったふたりが物理的に離れた場所で生活しながらも恋愛を続ける試練



『遠距離恋愛』


今まで手を伸ばせば触れることのできる距離にいた想い人が遠く離れた地に行ってしまうこと

恋に恋する乙女としましては悲劇に感じてしまいます。


オンラインで顔を合わせることが気軽にできるようになった今でも離れているって辛いですよね。





『アリスcafe』


本日のお勧めはシュークリームとダージリンのセットです。


お勧めと言いますか・・・このセットしかないのですよ。


アリスさんにお気に入りのお店で購入して来ていただきました。

本人が食べたかったそうです。



座るとアリスさんの決めた本日のセットが出てくるcafe


なぜこのような制度になったのか

謎のベールに包まれております。




アリスcafeにはオンラインの謎設備が整えられております。


畳と同サイズのモニタが二台


カメラは高画質、照明も完備しております。


より綺麗により美しく映りたいという乙女心ですよ。

いつ殿方とのオンライン通話になるのかわかりませんからね。


必要な設備です。経費で落とせます。落とせますよねっ



――――



モニタには先輩が映っていました。


さくら先輩、相変わらずお綺麗です。



現在英国に滞在中の先輩


先輩が海外に駐在するじゅうななさい

乙女には色々とあるのですよ。

その辺を深く問わないのが淑女の嗜みと言うものです。



爆乳姫子さんとアリスさん、三人で女子会をしていたようですね。

私も入れてもらいましょう。



「さくら先輩 お久しぶりです」


『お嬢 聞いたよ。最近聖女さまやっているんだって すごいね』



ごふっ



ダージリンの噴水と言う乙女にあるまじき水芸を披露するところでございました。


あなたは海外にまでその情報を流布しているのですか。



「ちょっ 聖女さま 無言で揉まないでっ」


「おゆきせんぱい てくにしゃんです」



――――



『そう言えば関係ない話だけど・・・』


ここからが本題ですね。

さくら先輩の口癖はすぐにわかりますよ。



『あいつって最近どんな感じかなぁ・・・って・・・』


ふわっとした質問ですね。

あいつって誰ですかぁ わからないですぅ(アリスさん風すっとぼけ)



「のっぽ先輩ですかぁ 相変わらず無駄にイケメンしてますよぉ」


アリスさん・・・ いつものボケは無いのですか



『変な噂とか聞いてないかなぁ・・・ と思ってね』


変な噂ですか



「好きな人が出来たって噂聞きましたっ」



オンラインデータで英国の冷たく重い空気が流れ込んできます。

いつからこのような機能を備えたのでしょうか。



『・・・好きな人って・・・誰』


「名前までは聞いてないですぅ ウ・ワ・サですからねぇ」


アリスさん 無自覚無敵モードに入ったようです。

この空気の中でも物怖じしないのはあなただけですよ。



のっぽ先輩はその名の通り殿方の中でも身長高め

モテますが、特定の女性とお付き合いはしていないはずです。



「優しくて美人らしいですよぉ 調査班が調べましたっ」


『美人かぁ・・・ 誰だろう・・・ そんな話聞いてない』



アリスさん 調査班って誰ですか



さくら先輩が英国に行ってからもうすぐ二年


お察しの通りのっぽ先輩に好意を持っているようです。


日本にいるときは気やすい友達って関係に見えたのですが・・・


離れてしまってから恋心に気が付いてしまったのでしょう。

恋とは儘ならないものでございます。



「週に一度は夜にお話ししているみたいですよぉ もう仲が良いんですね」


『夜にデートっ そんな・・・』


お付き合いしていなくとも嫉妬はしますよね。

そんな絶望的な顔しないでくださいよ。



「さくら先輩は彼氏できましたかぁ もしかして英国紳士ですかぁ」


『・・・』


アリスさん 無敵すぎます。もう少し空気読みましょうね。



「来月帰国するんですよねっ また遊べますね」


『・・・そうね ・・・でも帰るのやめようかな』


アリスさん シュークリーム取り上げますよ。




「この一年くらいでだんだん好きになっていったみたいですよ」


『・・・そうですか』


姫子さんまで追い打ちをかけるのですか。

噂のこと詳しく知っているようですね。



「春になったら告白するって気合入れてたから」


『・・・っ』


姫子さん それ以上は・・・



「オンラインデートしか出来ないから拗らせてるみたいです。

 気合入りすぎですよね」


『えっ・・・オンライン』


「週に一度 木曜日にオンラインデートだって聞きましたよ」


『木曜日っ』



さくら先輩 顔色変わりましたね。挙動不審です。

それって・・・そういうことですか。



「春には直接会えるようになるって喜んでいましたよ。まだ片思いなのに」


『そっ そうなのね』



状況が見えてくると途端に甘くなってまいりました。

姫子さんが悪い笑顔しています。


それなら私も参加です。



「さくら先輩は何か心当たりありますか。のっぽ先輩の好きな人って」


『ちょっと わからないなぁ』



の咲く春に告白なんて素敵ですよね。憧れますね」


『さくらっ・・・そうね。素敵ね』



「玉砕覚悟で思い切って告白だそうです」


「玉砕したら残念会してあげましょうねぇ」


アリスさん お黙りなさい。



『玉砕はしない・・・かな』


さくら先輩 こんな蕩ける様な顔するんですね。


恋が実った瞬間(仮)の表情って女性が一番輝く瞬間なのかもしれません。

貴重な場面を見せていただきました。ごちそうさまです。


さくら先輩 

ちなみになんですけどオンライン女子会の映像 すべてバックアップされています。



『消してっ お願いっ』


駄目ですよ。永久保存版です。緊急女子会で鑑賞するのです。

文字に起こして小説にして公開してしまうのです。



今日のシュークリーム 甘いですね。






両片思いを確信した乙女と、想いを隠せていると思っている殿方


どんな幸せな場面が展開するのか楽しみでございます。



遠く離れた距離が想いを募らせ友情が恋心に変わって行く

そんな遠距離恋愛もあるようです。



「今年のさくらは早咲きかな」


「もう咲いていると思いますよ。満開ではないでしょうか」


「まだ咲いてませんよぉ 咲いてるのどこですかぁ」

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