碧い魔眼の算術使い

ワーグルス大陸。
北東の大国ランドルフ王国は帰路に立たされていた。
国の政策を司るひと柱、青の女王こと星見の姫アイルが急逝したのだ。

１年前より病床にあったものの、早すぎる別れは国民を悲しませた。そしてなにより、１００年戦争で王を失い、今だ爪跡が癒えぬこの国の行く末を暗く照らす。

この危機に対し第一級王国書籍管からなる元老院は、助力を求めるため、急ぎマルス教団が納める北の聖都レミナスに遣いを走らせる。

しかしそれが、大陸全土を混沌の時代に巻き込む使者になろうとは、その時誰も予見できてはいなかった。

ただひとりを除いては……。