君に届ける金色の

「ねえ───」

その言葉を聞いたのはいつのことだっただろうか。
遠い記憶の中に埋もれていた幼い頃の約束。

覚えているのは憎らしいくらい綺麗に桜が咲いていたことだけ。

忘れていたのか、思い出さないようにしていたのか。
どちらにせよ、もう終わったはずのそれは今となっては何の意味も為さない。
だから、今更思い出したところで過去のもの。

──── きっとそうだ

そんな思いとは裏腹に、どこかで直感のようなものもある。今思い出したことには何か意味があるんじゃないか、と。
約束の相手はそんなことをいつも思わせてくれる人だった。

呼び覚まされた思い出は少しずつ、しかし確実に全てを変えていく。

何者かに導かれるように、止まっていたはずの時間は動き始める。
向かう先がどこであろうとも、もう立ち止ま…続きを読む