概要
もし、自分を傷つけて自分の罪がなかったことになるとしたら。
自分勝手な罰し方なんだと、僕は分かっている。
中学二年の僕、鳴坂眞白は道を踏み外した。片思いをしていたクラスメイトの嘉瀬亜黒への告白に失敗し、僕は階段上で嘉瀬亜黒を殺してしまった。友達にも事故死だと嘘をつき、僕は引き返せなくなった。
そんな僕の前に、ハイイロさんは現れた。そいつは僕に一つ提案をしたのだ。
「自分で罰を受けてみたいと思わない? ボクは魔法のような力を持っているんだ」
ハイイロさんの言う魔法の内容とはこうだ。
その魔法にかかった状態で自分を傷つければ、自分の背負った罪は、一定期間なかったことになる。僕のせいで死んでしまった嘉瀬亜黒にも会える。
ハイイロさんは、この魔法のことを「罰欲センサー」と呼んでいる。
僕はその魔法を受け入れた。そして僕は、嘉瀬亜黒
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!まるで近代文学を読んでいる感覚
罰欲センサーという存在とその効力、ハイイロさんの存在以外はファンタジー感はなく現実世界の青春時代を生きる若者の描写が見事な物語になっています。
ネタバレのないように説明するのは難しいですが、ある事件をおかしてしまった主人公の心理描写はまことにリアルです。
自分もそう考えるかもしれないなと共感するひとも多いと思います。
そういう意味では感情移入がしやすくて物語に入り込みやすいお話です。
ただ唯一のファンタジー要素である罰欲センサーがあまりに特異な能力なので、今後の展開が読めるような浅い設定ではありません。
現実感と物語感が絶妙な作品です。
ファンタジーが好きな方も文芸作品が好きな方にもオ…続きを読む