『地球温暖化』――それは太古の記憶への扉を開いた。
僕、「春本 樹」は日本から派遣された南極探査員。
オーストラリアと南極を行き来する生活を送っていた。そう、『あの日』までは。
いつものように南極の基地で環境調査をしていると、僕は万年氷の異常な崩落を目にする。近づいてみると、彫りが深く、浅黒い肌をした男が居た。ボロボロの麻布を身に纏っただけの男に声を掛ける。
――男は260万年前の氷河期、南極の氷の中に閉じ込められた古代人であった。
僕と古代人エンドロップの静かな、けれど胸が高鳴る物語。
(カクヨム短編賞2022、中間選考突破致しました。ありがとうございます)