夏あぐる謎

ある日突然、通っていた男子校が消えた。正しく言うのなら、経営難に陥った男子校を隣の女子校が買収したのだ。
学校中の生徒が喜び勇んだ。それもその筈、恋など育つはずのない荒地に突然花が咲いたのだから。
しかし合併後の高校には、女子高主導のもと信じられないほど強固な規則が敷かれた。
それは『男女の不必要な交流を禁じる』というもの。

あるはずだった青春を惜しみながら、高校二年生の芦間文理（あしまぶんり）は放課後に委員会の仕事を行う。作業の最中同じ委員会の小波渡は暇つぶしとばかりに、授業中起こった小さな謎を思い起こす。

そうして小波渡が口にした数少ない情報の中から、芦間はある一つの結論を導き出す。これからの学園生活を大きく変化させる事態に繋がるきっかけになるとも知らずに。