第20話 騎馬戦

騎馬戦開始直前の各学級委員長の会談、急遽1年生は 同士討ちをせずに

2・3年生を襲うもしくは逃げ回ることに決まった。

 やはり 緒戦の玉入れで 3年生たちの団結ぶりをみせつけられては

 1年BD組もいがみ合っているわけにはいかないと悟ったようだ。

 そして1年AC組への対抗心を、2年AC組にぶつけることにしたようだ。


 だって 1年A組が2年AC組をあっさりやっつけた(と1BD組は思ったらしい)のなら 俺たちだって2年AC組に負けるわけにはいかないと思ったらしい


それでも偏狭な1年BD組は「2年ACは俺たちの獲物だから、1年ACは手を出すな」よのたまった。


本当は1年A~Dで 2年生を1クラスづつつぶして言った方が良いというのが

僕たち1年ACの意見だったのだけど。


そこで 僕たちAC組は 当初からの予定通り協力して「上級生から逃げ回りつつ反撃作戦」と展開することにした。


ちなみに1年BD組が僕たちに喧嘩を吹っ掛けたままの状態で騎馬戦が始まる時には、AC協力で「電光石火でつぶすぞ1B→C作戦」のあとは 各自めいめい その場の状況にあわせて走り回る予定だった。


ちなみに なんで上級生に対して「電光石火~作戦」をやらないかと言えば

上級生の出方がさっぱり予想できなかったからだ。



いざ開戦!

1ACの遊撃隊は運動場の左右に分かれて運動場の端に寄った

1ACの防衛組は六角陣を組んで後退した


予想通り1BDは それぞれ別個に2ACに向かって言ったところを3年生たちに囲まれ、2ACと3年全クラスにフルボッコにされて瞬殺


一方2BDEは 最初から僕たち1A遊撃隊めがけて突進してきたので、

僕たちは個々別々に全力で走った。

 走って走って逃げ回った。

  騎馬役は全力で走る。

  大将役は必死で騎馬役にしがみつく


1BDを瞬殺した2ACと3年全員は一斉に、1ACの防御組に襲い掛かって行った。



僕たち1ACの遊撃隊のうち、4人組・5人組編成の騎馬隊は 仲間が2・3年生合同部隊に押しつぶされるのを防ごうと、2・3年合同部隊に突入して あとは混戦


一方2・3人編成の1年遊撃隊は、生き残りをかけて運動場の四隅に退避


3年生たちの騎馬隊の基本戦略は 体当たりして相手の騎馬をつぶす作戦だったのは

1BDが襲われる様を見ていた1ACの防御隊からの連絡で分かっていたので、

僕たち1年4人組・5人組騎馬隊は とにかく2・3年生の集団のど真ん中目指してつっこんでいった。


つまり騎馬どうし押し合いへし合いしていては体当たりされる心配はない

押しつぶされそうな苦しさはあるけど、そこは騎馬役に耐えてもらう。

そして 大将は必死になって周囲の騎馬の大将をひっくり返したり、取っ組み合って落とすのだ。


なんだかよくわからないまま 騎馬役たちに足を支えられた状態で

とにかく 目の前にいる大賞たちと取っ組み合っては投げ飛ばした。


幸いにもアカツキ(真)の体は 思いのほか柔軟でそのうえ 柔道の心得まであったので 上級生の中でも小柄な人を狙ってぽいぽい引っ張って落としたり、

大柄な連中がつかみかかってきたときには 背負い投げができた。


終了の笛が聞こえて 各々元の陣地に戻った時に、僕のズボンがずり下がってお尻が出ていたので あわててズボンを引っ張り上げたけど、ウェストボタンがなくなっていた><


生き残ったほかの大将も大体似たようなもんであった。


「もはや 騎馬戦というよりは、仲間に下半身を支えられた大将たちの取っ組み合いでしたねー」と進行役の先生から講評されてしまった。


得点は

 1A 大将10人中8人が生き残った。:8点

  3人縦並びのチーム2組が、しょっぱなの体当たり攻撃で吹っ飛ばされ、

  騎馬がつぶれたのだ。


 1C 5人組3チームが1Aといっしょに防御側に残り 3人組5チームが遊撃隊として隅っこで逃げ回る作戦だったが、後半 あっさりと2・3年生の集団に隅に追い詰められて遊撃隊5チームは撃沈 :3点


 2年3年は 各クラスとも 5人組2チーム・4人組5チームの編成だった

先輩たち曰く 「3人組編成なんて初めて見たよ」だってさ。

「肩車して逃げ回るなんて発想 どっからでたんだ?」とも言われた。


その結果、

2A:5点

2B:5点

2C:5点

2D:5点

2E:5点


3A:6点

3B:6点

3C:5点

3D:5点

3E:5点

 となった。

2ACのクラスは、1BDのクラスが集団で女子組に殺到して押し倒した挙句

どさくさまぎれに 倒れた女子の手足や腹を踏んづけて行ったと猛抗議してきた。


実際彼女たちの体には しっかりと足跡が付いており、女性を踏みにじった1BDの生徒の姿も撮影されていたので、1BDは失格となった。

本来なら1BDの全競技の得点は没収されて、慰謝料代わりに2ACに分配されるはずだったのだが、あいにく1BDはマイナス点だったので、1BDのマイナス点はそのまま1年生の学年得点として残されてしまった><


群衆心理に駆られてやったとは言え、1BDのクラスのだれもが、狼藉者を止めようとせず一緒になって女生徒を踏んでいったのは 悪質すぎる・モラルの欠如が深刻として その場で1BD全員が退学が決定。

  え~~~~~~!


その保護者達も全員「監護の不足」責任を問われて一斉逮捕となった。


あまりのことに 全校生徒はシーンとなってしまった。


ちなみに試合中、遠目に1BDの生徒達が2・3年生にフルボッコにされたと見えたのは

踏み倒し現場に気づいた審判が一斉に1BDの生徒達を電撃魔法をかけたからだった。

そして2・3年の生徒は その場で審判たちに試合続行を命じられたので、

全員で1ACの防御隊に向かったのだそうだ。


2・3年生たちは 審判の雷撃魔法の発動に気づいていたが、

僕たち1ACのメンバーは誰もそのことに気づかなかった。

 いろんな意味でショックだった。


それでも、全競技終了後の総合得点の集計が行われ、表彰式やら閉会式やらが行われた。


1A 6008点

1C  3点

1BD ー1200点


2A~2C -1200+10+5=ー1985点


3A 37点

3B 69点

3C 35点

3DE 68点


というわけで クラス優勝1A 準優勝3B 3位が3DE

学年優勝 1年


となったわけだけど、最初の玉入れの得点配分が高かっただけで

あんまり1年生が勝った気がしない。

だって5クラス中3クラスが失格又は退学になったのだもの。


思わず これって 今年の入試制度に問題があったのか?と思ってしまった。

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